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第5号【相模原キャンパスでの準備作業】平成17年8月8日

あきる野実験施設は、施設の大きさの関係でペンシルロケット発射台のランチャ出口から ペンシルロケットを受け止めるキャッチャ部分までの長さがおよそ6メートルでした。 しかし、幕張メッセ本番の水平発射再現実験の安全を確認するため、どうしても本番と同じ およそ20メートルの距離を確保しての試験が必要です。この試験を行う場所として、能代多目的実験場が選ばれました。

能代多目的実験場での試験は幕張メッセ本番の最終確認試験になるため、 本番で使われるランチャ(発射台)・スタンド(支持台)・電気標的・発射管制装置・ 高速度カメラやオシロスコープなどの計測装置・その他の機材等の一切を持ち込み、 予行演習を兼ねた試験が計画されました。

そして、あきる野実験施設での試験を終えたペンシル再現チームは、 すぐに能代多目的実験場での水平発射実験の準備に取り掛かったのです。 とりわけ急を要していたのが、電気標的作りでした。

電気標的は飛行経路を観測し、ロケットの速度を計測する手法として考え出されたもので、 今回も当時のものを忠実に再現する努力が払われています。下の写真は、 宇宙科学研究本部の相模原キャンパスで電気標的を作っている様子です。 50年前は万年筆のインクなどを吸取る吸取り紙が使用されましたが、 今回の再現実験では薄葉紙(うすようし)が選ばれました。この薄葉紙は靴などを買ったときに 箱の中のクッション材として使われているのでご存知の方も多いでしょう。

電気標的作り

電気標的は、この薄葉紙に直径50ミクロンの裸銅線を5センチ間隔のつづら折りの形でのり付けして作られます。 ペンシルロケットが電気標的を突き抜ける時、裸銅線が切断されて観測装置に電気信号の変化として 現れます。裸銅線は、当時の文献通りにセメダインを使って貼り付けられています。

銅線の貼り付け

電気標的は本番用(幕張メッセで使用)・練習用(あきる野実験施設および能代多目的実験場で使用)の 大小取り合わせておよそ100枚以上作成する必要があり、再現チームメンバーは業務の間に 時間を作り出して、必要枚数を確保するように今も作業が続けられています。

標的作りと平行して、相模原キャンパスではスタンドの仮組立ても行われました。

スタンド

上の写真にあるように、スタンドには電気標的の枠が10基据え置かれ、 また、ランチャーが取り付けられます。スタンドは鉄チャンネル材料でできています。 電気標的の枠の左右と上部に光って見えるものは、トランシットの反射ターゲットです。 下の写真はスタンドの奥にトランシットを設置し、いわゆる「芯出し」作業を行っているところで、 最も時間と神経が費やされます。この作業は、トランシット使用の習熟も兼ねています。

トランシット使用中