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第2号 【富岡で地上燃焼試験】 平成17年6月28日

車を走らせるにはガソリンが必要であるように、ロケットを飛ばすにはロケット用の燃料が必要です。 ロケットの燃料は通常「推進薬」と呼ばれます。ガソリンを燃やすには空気が必要ですが、 推進薬には空気の代わりをする「酸化剤」が入っているため宇宙でも推進できるのです。 50年前のペンシルロケットでは、「ダブルベース」とよばれるタイプの推進薬を用いていました。 今回の再現実験でも、その「ダブルベース」を使用します。

同じ推進薬でも、得られる推進力(前に進む力)はその量や燃焼方式によって異なります。 今回の水平発射再現実験に適している燃焼方式を選ぶため、6月10日にロケットの製造メーカーである (株)IHIエアロスペースの富岡事業所において5回の地上燃焼試験が行われました。 この実験には、水平発射実験でのロケットおよび計測器材の運用法を検討するため、 ペンシル再現チームからは8名が参加しました。

まず、実験室内で試験用のロケットモーター(固体ロケットの場合、エンジンではなくモーターと呼ぶ) を組み立てます。計測台(テストスタンド)に固定するので、 ロケットの先端部分を切り取ったような形になっています。 この中に点火薬を仕込んだ発火装置と、薬幹(推進薬グレイン=推進薬を円筒状に加工したもの)を入れ、 さらにノズルを取り付けた後にテストスタンドに固定します。 推力や燃焼室の圧力(燃焼圧力)を測るためのセンサーも、予めロケットに取り付けてあります。

固定された試験用ロケット

ここまで準備を終えると、安全のため実験室から出て別の部屋で待機します。 試験の様子は、実験室に設置したカメラを通して見ることができます。

10秒前からカウントダウン、そして点火!

燃焼の様子

写真のように炎がでるのは、ほんの一瞬です。 右上の表示は、点火から0.04秒後の映像であることを表しています。

この日は推進薬の量・燃焼方式の異なる3種類の推進薬グレインについて燃焼試験を行い、 燃焼圧力・推力・機体のひずみ・温度のデーターを取得しました。 あわせて、実験室内に騒音計を設置し、燃焼時の騒音レベルも測定しました。

後日、データ解析をした結果、推進薬が燃えているほんの一瞬の間(約0.1秒間)に、 約80m/s(時速288km!)まで加速できることが分かりました。 今後、他のデータも踏まえて検討し、本番で使用する推進薬を決めることになります。