本日の運用も,ビーコンによる状態確認を行い,最小限の情報がなんとか得られました.

日に日に,ビーコンの解読が難しくなっていますが,地球距離,地球角が増大していることが
主な原因となっています.

これとは別の話になりますが,最近,太陽距離,太陽角も増えています.

まず,太陽距離が増加するのは,IKAROSが楕円軌道となっているためで,来年3月に遠日点
(太陽から最も離れた点)を通過するまで続きます.
一方,太陽角の増加は,主に風車効果によって引き起こされました.
IKAROSでは風車効果によって,太陽側から見て時計回りにトルクが加わるため,
時計回りのスピン(逆スピン)時には,スピンの速度が増加します.
スピン速度が小さい場合,太陽光圧トルクによってソーラーセイルは太陽に近い方向を向きます.
しかし,スピン速度が大きくなると,姿勢は変化しにくくなり,いわゆる慣性指向となります.
このため,太陽角が徐々に大きくなっているのです.

太陽距離,太陽角の増加に伴い,太陽電池の発生電力が減るため,近い将来,停電に至ります.
しかし,上記のメカニズムを考慮すると太陽距離,太陽角は,数か月後に減少に転じます.
これにより,IKAROSは再び必要な電源が確保できるようになり,目覚めるのです.
まるで冬眠ですね.

IKAROSは,すでに通信不可帯を経験していますが,今回は,通信が途切れるだけでなく,
電源が一旦落ちて復活するというプロセスも加わるため,リスクが高くなります.
それでも,数々の困難を乗り越えてきたイカロス君ならばきっと・・

イカロス君が冬眠を経て,前人未到の宇宙ヨットの旅がさらに続いていくのか
大きな大きな挑戦が間もなく始まろうとしています・・(O)


12/22のIKAROS
太陽距離: 0.89AU
地球距離: 231230845km, 赤経=-124.7°, 赤緯=-17.4°
金星距離: 1.55AU(231595492km)
姿勢:スピンレート=-5.3rpm, 太陽角=59deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.89AU
Earth Distance: 231230845km, RA=-124.7deg, Dec=-17.4deg
Venus Distance: 1.55AU(231595492km)
Attitude: Spin Rate=-5.3rpm, Sun Angle=59deg


P.S.
・DCAM姉弟グッズです.イカのお菓子入りです.
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・チーズケーキをはじめクリスマスの差し入れを多数いただきました.
 本当にありがとうございました!