本日(12/16(金))もビーコン運用を行いました.
IKAROSと地上系との間の通信回線は細々ですが,それはIKAROS自身が
元気がなくなってきていることを意味しません.
通信回線さえ太ければ,IKAROSはまだひと仕事でもふた仕事でもやれる状態
なのです.本当にIKAROSは健気ですね.

ところで,私は久々に運用を担当しました.したがってblogを書くのも久々
なのですが,見返してみると,最近はみんな神眼のことばかり書いて
替り映えがしないですね.ちょっと目を離すとみんなすぐこれなんだから.

さて,
私は今日は,神眼について触れてみたいと思います.

神眼を支えているものは,実はIKAROSの設計段階で今までになかった,
ある機能を入れたことなのです.
ある機能とは,IKAROSの姿勢電力制御系システムの中にある,
ビーコンのもとになるデータを生成,保持する機能のことです.

まさにこれは,こんなこともあろうかと考え追加した機能でした.
自画自賛になってしまいますが,この点はIKAROS開発チームの眼が冴えていたなと
思っています.

昨日のblogでH2さんが神眼が別の場面で役に立つかな?と書かれていましたが,
もともとこの機能は,IKAROSチームのメンバーがはやぶさの運用を経験して,
必要性を感じて付加した機能でした.
そして,IKAROS開発時の眼,そして運用時に培った眼は,次の世代の探査機にも
受け継がれようとしています.
このようなぎりぎりの運用の経験を積むことで,何が宇宙探査機にとって本当に
危険なのか,探査機のやれることの極限はどこにあるのかを学びとることができるのです.

今,IKAROSメンバーの多くははやぶさ2の開発にも携わっています.
このビーコン機能,はやぶさ2ではさらに一工夫して,入れ込もうとしています.
これ以上のことは,はやぶさ2が打ち上げた後のお楽しみに.

IKAROSの運用によって,日々私たちは,
新しい眼(新眼?)を持つことができているのです.

次回はHさんが,神眼以外の話題でblogをupしますので乞うご期待!(Y)

12/16のIKAROS
太陽距離: 0.87AU
地球距離: 227216968km, 赤経=-130.8°, 赤緯=-15.8°
金星距離: 1.52AU(226954021km)
姿勢:スピンレート=-5.2rpm, 太陽角=53deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.87AU
Earth Distance: 227216968km, RA=-130.8deg, Dec=-15.8deg
Venus Distance: 1.52AU(226954021km)
Attitude: Spin Rate=-5.2rpm, Sun Angle=53deg