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第85号 2000年11月10日発行

目次


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新シリウス(SIRIUS)の現状(2)
(新システムの特徴及び構成)

1.新SIRIUSの特徴

 新 SIRIUS システムは、多数のワークステーションを高速の LAN で結合して一体化し、これに大容量のデータ格納装置を接続して、利用者側からは見かけ上スーパーワークステーションが1台有るという感覚で利用できる柔軟性に富んだシステムを目指したものです。

 新 SIRIUS システムの主眼とするところは、データの高速アクセス、そしてデータの高速転送にあります。そのため新 SIRIUS では多数のワークステーションを平行運転することにより負荷の分散を図り、平均的なデータアクセス速度やデータ転送速度の向上を目標としています。具体的には、

1) 各衛星に対しそのデータ量や CPU 負荷に見合った台数のワークステーションを必要に応じて随時割り当てる。
2) 各衛星の最新データや使用頻度の高い6ヶ月分程度のデータをハードディス上に配置できるようにし低速格納媒体からのアクセスを極力少なくする(全データは低速格納媒体である磁気テープカートリッジライブラリ装置に格納され自動的にハードディスクに呼び戻される)。
3) 新 SIRIUS システム上の各ワークステーション間を Gigabit Ether の高速 LAN で結合する。

のような考慮がされています。また、その時々の最高速(能力)のワークステーションやハードディスクを順次追加して行くシステムとしています。


2.新 SIRIUS の構成

 下図は機能面での新 SIRIUS の構成図です。新システムは図のごとく機能別に分散したワークステーション群によって構成されています。



それぞれの機能分担は以下の通りです。


1) システム管理部
 正副2台のワークステーション(以下 WS と記す)によって構成され、システム全体を管理し、マスターディレクトリにより全データの格納場所が管理される。


2)短期データ管理・格納部(高速アクセス用)
 利用頻度の高い半年間程度のデータを高速アクセス媒体(ハードディスク)に格納管理する部分で、衛星ごとに必要台数の WS が割り当てられる。


3)全データ格納部
 サーバタイプの WS に全データを格納する低速大容量ファイル装置(カートリッジ磁気テープライブラリ装置)とデータリコール用の大容量のハードディスクによって構成される。


4) データアクセス管理部
 直接ユーザとのデータのやりとりを行う部分で、この WS を介してデータの授受がなされ、 各衛星に対し独立した WS が割り当てられる。 この WS が唯一ユーザの飛び込める部分である。


5)基本処理部
 基本処理部はデータベースに格納する前にそれぞれの衛星に即した形でデータの一次処理(この処理を基本処理と呼ぶ)を行う部分である。この処理時にデータ管理情報やパケット関連の情報ファイルが同時に作成される。基本処理用 WS としては各衛星に対し1台程度割り当てられるが、通常共用使用である。


上記の機能分散されたワークステーション間は高速の LAN で接続され、ワークステーション間のデータの授受はソケットインタフェースによって通常行われます。システムとユーザーとの間のデータの受け渡しに関しては宇宙研において取り決めた SDTP 規約によって行うことを基本としています。

(加藤 輝雄)


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平成12年度宇宙科学企画情報解析センターシンポジウム
「宇宙科学におけるデータベース」報告

 平成 12 年度の PLAIN センターシンポジウム「宇宙科学におけるデータベース」が平成 12 年 10月 27 日(金)に開催されました。当初予想より講演者も聴衆も多く、このテーマの切実さを再認識致しました。

 "計算機パワー・ストレージ容量・ネットワーク速度の大幅な向上"といった技術面の進歩、"データ量とその公開圧力の増大"といった科学社会の変化を背景に、大規模データベースは現在様々な場所で構築されています。宇宙研でも、1997 年より科学衛星データベース「DARTS」を公開、また研究機関をネットワークで連結した「宇宙科学バーチャルデータベース」の構築を進めています。今回、この現状及び展望を報告させて頂くとともに、国内各宇宙科学機関の状況を報告いただき、現在の課題と将来展望について認識を共有する機会を得ることができました。また、情報学研・江口先生からデータベース工学研究の現状、遺伝研・舘野先生から DNA データバンク構築の現況について、それぞれ我々が耳にする機会の少ない興味深い情報をご提供頂きました。

 マンパワーの確保はどこも難しく、「データ提供者にメリットがあり、管理者の構築負荷が軽く、利用者が使いやすい」データベースデザインが喫緊の課題と言えるでしょう。データベース構築は分野を問わない課題となりつつありますが、必要に迫られた素人が別々に構築を行っており、ユーザーやデータ工学研究者を含めた横の連携が重要です。この点、今回様々な方々と顔を合わせることができ非常に有益でした。皆様との協力により、宇宙科学データベースをより良い方向に発展させることができれば幸いです。

 最後に、ご講演を快諾していただいた先生方、出席された皆様にお礼を申し上げます。例年通り講演集を出版する予定ですので、出席されなかった方で御希望される方はお知らせください。

(笠羽 康正)


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大型計算機に関するお知らせ

1. 大型計算機の11月・12月の保守作業の予定


 M:システムメンテナンス


 12 月 18 日(月)に予定していた VPP800/12 の定期保守作業は年末に集中保守作業を行いますので、中止します。


2. 年末・年始のスケジュール

 年末年始の運転・保守作業スケジュールは現在検討中ですので、次回 12 月号 PLAIN センターニュースでお知らせします。


3. 計算機登録予算の移算締切について

 前年度と同様、今年度も下記日時で計算機登録予算の移算処理を締め切らせて頂きます。

  締切日 平成 12 年 12 月 22 日(金) 15:00

 尚、上記日時以降も予算追加は出来ますが、その追加予算は翌年度移算となりますので、配当が確実なものに限ってください。

(三浦 昭 )


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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