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第55号 1998年5月14日発行

目次


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宇宙研の計算機として一体何が必要なのか?

 計算機利用形態が一昔前とはかなり変わってきています。現在のようにワークステーション(WS)やパソコン(PC)が普及する以前は、所内のほとんどの人がセンター汎用計算機に端末からアクセスして、データ処理や科学技術計算を行っていました。それに対して最近はほとんどの人が机の横にPCやWSを置き、そこで電子メールのやり取りや、データ解析、科学技術計算を行っています。衛星運用においても、 PLANET-B 以降は大型汎用計算機からWS利用に移行しています。このようにセンター計算機を必要としない人が増えてきている状況で、今センター計算機利用のあり方が問われており、将来の計算機運用・運営のあり方が議論されています。4月上旬に行われた計算機運営委員会においても、現在の計算機運営予算が有効に使われるよう計算機のあり方について数多くの意見が出されました。

 これまでの議論から、

1)汎用計算機の将来のサポートをどうするか、
2)超高速計算機はセンターで必要か、
3)データベースに必要な大型ファイルサーバの必要性

などの問題があがってきています。これまでに出された議論を整理してみます。

 まず汎用計算機とは、宇宙研では MSP システムのもとで稼働する大型計算機のことで、最近の UNIX システムの計算機とはデータやプログラムの非互換性があり、UNIX 計算機では代用できない計算機として宇宙研では必要なものとされています。例えば、「あけぼの」「ようこう」 「あすか」「ジオテイル」「はるか」衛星運用では、汎用計算機を使ってきており、またデータ解析でも特に「あけぼの」は汎用計算機にかなり依存した形態をとっています。宇宙研では、この汎用計算機が計算機運営予算のかなりの部分を占めているにも拘らず、計算処理能力や主記憶容量などの点で UNIX 計算機群に比べると、かなりコスト高の計算機になっています。この汎用計算機システムのコストを如何に低減し、これを如何に有効に運用するかが鍵となります。UNIX システムの計算機に移行できれば話は簡単ですが、衛星運用計算機を全く異なるシステムに移行することはほとんど不可能です。計算機システムに移行に伴い、データ配信などの衛星運用システム全体の見直しが必要で、そのために掛かる費用は莫大になり全く採算が合いません。更に安全にシステム移行できるかどうかが深刻な問題です。そのため上記の5衛星運用中は汎用計算機を維持しいていくことはやむ得ないとの見方が一般的です。しかしこれらの衛星の運用終了後は、汎用計算機のサポートをやめても良いのではないかという議論が、4年前に行なった前回のセンター計算機リプレースの頃から出ています。ところがデータ処理・解析で汎用計算機を利用しているユーザからは、出来るだけ汎用計算機を宇宙研ではサポートしてほしいとの要求があり、今後の議論が必要です。もう一つ汎用計算機廃止を妨げる要因として、衛星テレメトリーの生データの保管庫である「シリウス」があります。「シリウス」データベースは汎用計算機システムでしか動かず、このデータベースを長期に保存する必要があるとすれば汎用計算機はなくせず、過去の遺産を引きずった計算機システムを維持していかなければなりません。

 さて次の問題は、宇宙研での高速計算機の位置づけです。計算機能力の向上により、多くの宇宙研の研究者にとっては、WSやPCで必要なデータ処理・解析、そして簡単な科学技術計算が可能となっています。高速計算機が必要なのは、高度なデータ処理・解析、それに関連した理論計算や衛星設計などをする研究者に限られます。この高速計算機も宇宙研ではかなりの予算を占めており、しかも二種類の異なった計算機を保有しています。ベクトル計算機のスーパコンピュータと高速スカラー計算機です。プログラムによって、ベクトル計算機の方が処理が早いものと、スカラー計算機の方が早いものとがあり、現状では万能計算機はなくプログラムによって計算機を使い分けています。最先端の研究を維持するためにも高速計算機が必要であることは理解されていますが、宇宙研の所内全体予算が厳しい現状で、2台の高速計算機にかかる経費に見合った利用がされているかどうかの議論が出てきています。これらの計算機のセンターでの維持管理を中止した場合、各プロジェクトで必要に応じて高速スカラー計算機を購入維持出来るか、シミュレーション計算などベクトル計算機が必要な場合は東大計算機センターなどを利用すれば問題が解決するのか等の検討が必要です。このような代替えが可能である場合そのコストの比較とならんで個々の研究者の研究効率の比較が必要になるでしょう。

 最後に、今後の計算機リプレースで考えていかなければいけないものとして、データベースに関連した計算機システムがあるかと思われます。「シリウス」データベースは、 PLANET-B 以降は UNIX システムに対応した「新シリウス」に移行し、これまでの汎用計算機に加えて新しい計算機システムを必要とするでしょう。またサイエンス・データベースの「ダーツ」は、軌道に乗り始めており、更なるシステム強化が必要とされています。工学データベース「エジソン」も構築が始まっています。これらのデータベースは、プロジェクトのデータベースと共同で開発する部分も多く、将来衛星の大容量データを扱う大型ファイルサーバをセンター計算機として位置づける考えも出てきています。またこれに見合った高速ネットワーク整備も必要なのは言うまでもありません。

 以上のような個別の問題とは別に、根本的に計算機予算の仕組みを見直し、必要なときに必要な計算機資源を提供できるようなものに出来ないかとの意見も出されています。一方衛星データベースは計算機システムの変転推移に拘らず、長期的に管理・保存され、随時使用に供する必要があります。宇宙研の計算機システムとして、本当に整合性がとれたものは何なのか、また次期計算機リプレースはどうあるべきかなどについて、皆さんで是非考えていただき、ご意見をいただければと思います。コメント・ご意見は計算機運営委員または PLAIN センターのスタッフまでお願いします。
(星野 真弘、向井 利典、長瀬 文昭 )


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大型計算機に関するお知らせ

1.大型計算機の5月、6月の保守作業予定
 




※1 M:システムメンテナンス
※2 VPP 500 / 7 のクローズ処理を 8:00 から行いますので、それまでに TTS ジョブは終了して下さい。又、イニシエータクローズは前日には特に行いません。保守作業はシステムフリーズで行います。


2.VPP 500 のファイルサイズリミットの変更について

  ftp で VPP 500 にファイルを put する場合、ファイルリミットサイズが 500 MB であったため、大型ジョブで不都合があったので 1.7 GB に変更しました。


3.GS 8400 / 20 の運転形態の変更について

 従来は自動運転モードの切換を金曜日の午後 6時以後としてきましたが、利用者からの希望により土曜日の午後10時からに変更しました。尚、自動運転モードにおける運転継続条件の変更はありません。


4.モデム経由公衆電話回線番号の変更について

 相模原キャンパス内のダイヤルイン導入に伴い、5 月 18 日(月)8:30 より公衆電話回線番号が変更になり下記の通りとなります。


(a)MSP GS 8400 / 20 マシン用モデム F 1935 TA

 (1)回線速度 2400 bps TTY

0427−59−8483

 (2)回線速度 2400 bps BSC
0427−59−8484


(b)UNIX マシン用 NET BLAZAR 経由

 (1)回線速度 300〜9600 bps TTY
0427−59−8485
0427−59−8486

 (2)回線速度 300〜14400 bps TTY
0427−59−8487
0427−59−8488

(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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