PLAIN センターニュース第36号
 
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第36号 1996年10月4日発行

目次


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NASA GSFC データベースセンター訪問記

 NASA の GSFC(ゴダード宇宙飛行センター)にある高エネルギー天体物理のデータベースセンター(HEASARC)では、「あすか」衛星を含む高エネルギー天体観測衛星の巨大なデータベースシステムが既に完成しており、誰でも自由にインターネットを通じてデータを得ることが出来ます(http://heasarc.gsfc.nasa.gov)。この夏、私は、プレインセンターで構築中のデータベースシステム DARTS に入れる「あすか」衛星のデータの内容等について話し合うため、3週間、HEASARC を訪問しました。ここでは、その訪問記として、向こうのデータベースセンターの紹介とその存在意義を記したいと思います。(写真は、その HEASARC のハードウエアーシステムの一部です。)



 向こうに行って最初に驚いたのは、データベースを構築する人の多さと完全なまでの分業体制です。コンピューターのハードウエアー関係で6人、ソフト関係で10人ほど、データ処理関係で各衛星毎に2、3人が雇われています。現在、その内の巨大ソフトグループは、より早い検索ソフトの導入や、新しい検索システムの開発など、利用者により良い環境を提供する方法を模索していました。また、数カ月に一度の割合で、検索の窓口となるホームページのデザインも一新されるその余力は、(3〜4人で全てを行なっている DARTS プロジェクトの一員である)私からすると羨ましい限りです。

 さらに HEASARC では、利用者の研究面でのサポートも行なっています。提供されたデータやソフトに初めて触れる人でもそれらが正しく使えるように、データ解析の手順などをインターネット上で説明しています。そして、利用者からの電子メイルによる質問や、(誰もがデータ解析を行なえるように!)センターに用意された計算機で研究をしている人からの質問に答えられるように、第一線で活躍してる研究者が待機しています。実際、私がいた時もアメリカやポーランドの研究者が、HEASARC で「あすか」のデータを解析し、その結果を向こうの研究者と議論していました。

 ここまで読んで下さった方の中には、何故そこまで何から何までサポートするのか、といった疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。その背景には、インターネットの普及に伴う、近年の天文学/宇宙物理学研究のあり方の大きな変化があると思います。検出器の性能の向上により多くの天体が観測できるようになり、またデータの絶対量が多くなるにつれて、多くの人々が様々な角度から(一つのデータを)研究する必要が出てきました。また、特定の波長域(例えばX線)のデータだけでなく、より多くの波長域でのデータを用いて研究を行なう必要も出てきました。天文学全体の向上のためには、これらの要求を満たす、誰もが自由に扱えるデータベースが不可欠になりました。HEASARC は、そのような時代の要請を満たした、データベース天文学時代の一つの理想郷だと言えます。

 最初にも少し記しましたように、宇宙研でも現在、宇宙研が打ち上げた科学衛星のデータを一般に提供するデータベース DARTS を構築中です。宇宙研には、宇宙研にしかないそれらの衛星のデータに関する貴重な情報が多く存在しますので、それらを公開する事により、HEASARC に劣らない充実したデータ提供が出来るはずです。しばらくは、最低限のサービスしか提供出来ないと思いますが、この冬のデータベースの公開に御期待下さい。
(根來 均) 


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KSC LAN がインターネットに接続されました.

 鹿児島宇宙空間観測所(KSC)内の LAN の整備が進み、KSC LAN から所内外のホストへの IP 接続が実現しました.これに伴い、インターネット関連のサービスが KSC でも利用できるようになりました.主だったサービスは、以下の通りです. ・電子メール:SMTPやPOPを用いたサービスが利用できます.@pub.isas.ac.jpのメールアドレスをお持ちの方は、今お使いのメールソフトでKSCからでも御利用になれます.

・WWW: Netscape等のソフトが、相模原同様に御利用になれます.ホームページをhttp://www.isas.ac.jp/もしくは最寄りのページに設定しておくと、より快適になります.
・NetNews: paris.isaslan1.isas.ac.jp でネットニュースのサービスをしています.

 その他、telnetやftp等も通常通り利用可能です.

 KSCに端末を設置なさりたい方は、長木明成までお問い合わせ下さい.折り返し接続に必要な設定事項等をお知らせ致します.KSCへの出張等に伴う短期の御利用もお受けしていますので、こちらもお気軽にお問い合わせ下さい.なお、相模原からパソコン等を持って行かれる場合は、事前に相模原のLANで接続試験をしておかれることをお勧めします.
お問い合わせ窓口:
長木明成 内線:2410 FAX:(0427)51-3988
電子メール:akinari@nnl.isas.ac.jp
(三浦 昭)


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モデム(公衆回線)経由でセンター計算機にloginできます.

 この度、モデム(公衆回線)経由でもセンター計算機のUNIXマシンに接続できるようになりました. 接続方式はtty接続(普通のパソコン通信で使われている方式)となっていますので、モデムと簡単な通信ソフトさえあれば、自宅等のパソコンをセンター計算機等の端末として御利用になれます.回線速度は300bps〜57,600bpsまで自動的に判別するようになっていますので、特に利用に際して通信速度を意識する必要はありません.

 接続の際に必要となる設定は、以下の通りです.
電話番号: 0427-59-4274, 0427-59-4963 (2回線)
データビット: 8
パリティ: なし
ストップビット: 1
 上記の電話番号に正常に接続されると、多目的サーバ(sun6)のログイン画面が表示されます.ここでセンター計算機(UNIX)のユーザ名とパスワードを入力して下さい.ログインが終ったら、telnet等を用いて他の計算機も御利用になれます.
(三浦 昭) 


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大型計算機に関するお知らせ

I.10月・11月の定期保守について

 10月の定期保守はVX/2で21日(金)を予定しておりましたが、ファイルサーバの工事と同時期の18日(金)に変更します。

 11月の定期保守は GS8400/20、DEC Alphaで、 11月18日(月)8時から13時の間に行います。

II.ファイルサーバAUSPEXの機器増強工事について

 9月号でもお知らせしました通り、ファイルサーバの信頼性向上のため機器増強工事(ユーザーズファイルのミラーリング)を10月18日(金)に予定して居ります。工事中のUNIX系計算機は、18日(金)8時から20日(日)の深夜まで運転停止になります。再開は21日(月)9時30分です。同時に Giga Router についても、ダイナミックルーティングの設定変更作業(18日のみ)を行います 。

 尚、ファイルサーバのホーム領域の変更等を行いますので、VPP、VX等のジョブは完全に終了出来る様、計画的にジョブ投入をして下さい。イニシエータ停止は17日(木)12時に行います。

III.VPP500/7 のジョブ管理の一部改修について

 VPP500/7では、多くのセンター利用者が容易にマルチプロセッサ環境を利用できる様、ジョブの実行管理に NQS(Network Queing System)を導入しています。NQSではユーザが投入したジョブの受け取りから実行結果の出力まで、VPP500/7上で行われるジョブ運用の全てを管理しています。今回の改修では次の二種類の機能追加を行います。

(1)NQSのジョブリクエスト(又はリクエストと言う)制御
(2)ユーザジョブ連続実行制御

(1)は利用者毎のリクエスト実行数制限を行い、利用者間の公平性を保つものです。
(2)は、投入されたリクエストの逐次実行機能により、あるリクエストの出力結果を入力データとして使用するリクエストがある場合、それらのリクエストが逐次実行される機能です。

 詳細な機能、使用法については利用説明書がありますので、SE(内線2072、2063)に連絡して下さい。運用時期は10月21日(月)からです。

IV.マニュアル返却のお願い

 A棟4F・7Fに各種マニュアルが配備されて居りますが、下記3冊のマニュアルが利用者が持ち出して不明となっております。至急返却して下さる様お願い致します。

4Fサブステーション
 ・FORTRAN 77 メッセージ説明書 V10用
 ・IPF 使用手引書 V10用
7Fサブステーション
 ・UXP FORTRAN 77EX メッセージ説明書 V12用   

(関口 豊)


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