PLAIN センターニュース第21号
 
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第21号 1995年7月12日発行

目次


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WWWただいま準備中

 宇宙科学企画情報解析センター(PLAINセンター)では、宇宙研ホームページをWWWで全世界に公開すべく、現在準備を進めています。

 既にご存知の方も多いかと思いますが、WWW(WorldWideWeb)は、文字通りworldwideな情報発信源として各方面で注目されています。すでに宇宙研内でも、いくつかのサーバが立ち上がりつつあり、御覧になった方も少なくないでしょう。

 宇宙研ホームページは、いわば宇宙研内のサーバの玄関のような役割を担うことになると考えられます。内容は、宇宙研の概要や広報(ISASニュースや最近の動き等)を中心に構成する予定です(図1)。したがって宇宙研のサーバ自体は、さほど大規模なものとはなりませんが、各プロジェクト・研究室等のサーバをリンクすることにより、結果としては内容豊富なものになると期待されます。

 当面の目標は、7月末の一般公開です。この日は4階の会議室に端末を並べて、宇宙研ホームページの出来栄えを御来場の皆さんに御覧になっていただこうと計画しています。

 より良いページを作成するため、我々PLAINセンターのメンバーも鋭意努力を重ねていますが、おのずと限界も出て来ます。そこで、皆さんからのアイデアを募り、また各方面のサーバとリンクすることにより、宇宙研ホームページを充実したものにして行きたいと考えています。

そこで、
 ホームページに関して(内容・構成・リンク先・デザイン等)アイデアをお持ちの方、
 既に独自のサ−バを立ちあげておられる所、
 これからサ−バを立ち上げられる予定の所、
 その他、ホームページ作成を手伝って下さる方、

等の皆さんからの御協力をお待ちしています。 WWWに関する御意見・御要望、もしくは御質問等は、

 三浦 昭:内線 2420
e-mail: miura@ginga.eng.isas.ac.jp
または
 長木 明成:内線 2410
e-mail: akinari@ginga.eng.isas.ac.jp

まで、遠慮なくお寄せ下さい。

 また作成中のページを御覧になりたい方も、上記連絡先まで、お問い合わせ下さい。





図1 宇宙研ホームページ(ただいま作成中)

(三浦 昭) 


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科学衛星サイエンス・データベース・シンポジュウム報告

 3月中旬に開かれたPLAINセンターのシンポジュウムでは、科学衛星サイエンス・データベースのあり方について多くの方に様々な意見を出していただき有り難うございました。科学衛星の観測データは観測後即座に大発見に繋がるものから、じっくり時間をかけて解析することにより新たな発見に繋がるものまであります。このように衛星プロジェクトの終了後も観測データは利用価値が高いので、これを半永久的に保存すると同時に一般公開サービスを開始したいと宇宙研でも考えています。3月中旬のサイエンス・データベースのシンポジュウムでは、どのような公開サービスを考えればよいのか、また公開を始めたときどのような問題がでてくるのか等を議論していただこうという主旨で行われました。今後のデータベースのあり方を考えていく上で大変参考になったと思います。また既にデータベースを構築、管理、運用されている方々から、「人手不足」や「ハードウェアー不足」のなかで苦労されている体験談のお話もあり、諸外国でのデータベースの整備に比べると日本は立ち後れているようです。

 さて、シンポジュウムでは大きく分けて7つのグループの方々にデータベースのあり方について意見を述べてもらいました。光・赤外、電波、惑星、太陽、X線、太陽系プラズマ、そして情報科学の観点からの話で構成され、観測対象の違いや扱うデータ量の違いからデータベースに関してそれぞれ異なった興味深い議論がありました。

 光・赤外関連では、まず国立天文台での活動状況、全天サーベイ観測とそのデータ公開の現状について紹介がありました。また、特にIRAS衛星のようなサーベイ型の観測では、特定の天体を観測するオブジェクト指向型と違い、多量のデータをいかにうまく処理し解析を行うかが、研究成果を上げられるかどうかのカギになるそうです。国内での大規模データベース・センターの必要性を力説されたお話でした。また、現行の天文台や宇宙研でのデータベースセンターの構想に加えて、それをサポートする形の各大学の体制についても同時に考えないとデータベースセンターはうまく機能しないのではないかとのコメントもありました。

 電波天文学関連では、特に電波干渉計でのデータについての話でしたが、他のプロジェクト研究と桁違いに多いデータ量を扱うことに驚かされます。来年度打ち上げ予定のMUSES-Bと地上電波望遠鏡観測とを組み合わせると、1観測(12時間)で約数Tbyteのデータが生み出されるようです。その多量のデータを処理するためにはいくつかの分野での技術革新が必要であり、例えば1Gbps以上の伝送速度のネットワークの実現を期待しているようです。また、天文台と宇宙研の協力がデータベースセンターにも必要ではないかとのコメントも出されました。

 惑星科学では、惑星画像データがマイクロフィッシュから4つ切りサイズ程度のプリント、スライド、16mmフィルム、CD−ROM等でNASAを中心とした機関(RPIF)から配布されていること。また、そのデータは大学関連の研究者から一般の天文愛好家まで幅広く利用できる制度になっていること。日本でもそのようなサービスを行っているが、「人」や「予算」の問題から諸外国に比べ必ずしも充分な体制が整っていないとの報告がありました。

 太陽関連では、観測中の「ようこう」衛星とそのデータ処理、解析、データ公開の流れについて説明していただきました。データ解析では、市販のIDL画像処理ソフトを利用しており太陽物理の世界では広く利用されているようです。また、次期太陽観測衛星を考えた場合のデータベースのあり方の議論もありました。次期衛星ではデータ量が飛躍的に増大し約40倍程度になることから、データの扱い方、処理・解析の方法も新しい考え方が必要とされているようです。

 X線天文衛星関係では、アーカイバル・データを利用した研究が重要性であること、またNASAのHEASARCで公開している様々なミッションのサイエンス・データベースや解析ソフトが有用であること、「あすか」衛星の一般公開データ・サービスを日本でも実現させたいとの話でした。また、「ぎんが」衛星の長期全天モニターのデータベース作成の紹介がありました。

 太陽系プラズマでは、「あけぼの」衛星と「ジオテイル」衛星のデータベース作成の紹介とともにどのような形態でプロジェクト研究者にデータが配布されているかの説明がありました。また、データの利用者の立場からデータ公開に伴い標準化した解析ソフトの充実が必要ではないかというコメントがありました。

 以上のような多岐にわたる話のなかで共通の問題意識も数多くあります。例えば、これまでに観測されたデータを整理しデータベースを構築していくことは、あらたに観測装置を作って観測するに匹敵する価値があるとの意見がありました。今となっては掘り起こせないデータが世界中で眠っていることはよく知られています。また、データセンターは、単にデータを提供するだけでなくデータの解析をサポートする体制が望ましいとの意見も出されました。現在ではネットワークの速度の問題もあり、各ユーザ・サイトにデータを転送して解析することが一般的ですが、標準解析ソフトがセンターの計算機にインストールされていれば、厄介なソフトのインストールや保守を考えることなくセンター計算機にアクセスしてそこでデータ解析が手軽に行うことが出来ます。このようなシステムも近い将来必要になってくるのかも知れないと考えています。  
(星野 真弘) 


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ネットワークよもやま話 (3) − ブロードキャストアドレス

 インターネットのために作られ、LANでも広く使われているプロトコル体系であるTCP/IPにおいては、同じネットワークに接続しているノードすべてを宛先とするブロードキャストアドレスが規定されている。具体的には、ホスト部がオール1、すなわち、ホスト部のすべてのビットが1であるアドレスが、ネットワーク部によって指定されるネットワークに接続されるすべてのホストを受取人として指定するブロードキャストとして使われる。たとえば、ネットワークアドレスが133.74.2.0/24(/24は、上位24ビットがネットワーク部であることを表す。)であるネットワークのブロードキャストアドレスは133.74.2.255である。話がこれで終わればいいのであるが、歴史的な事情でホスト部がオール0であるアドレスをブロードキャストアドレスとして使う流儀が多く使われていた時期がある。宇宙研でも、例として示した133.74.2.0/24をはじめ、所内LANの多くのセグメントで未だに非標準のオール0が使われている。

 非標準のオール0を使い続けることは、さまざまなメーカの計算機が接続するネットワークにおいて、トラブルの原因になりがちであり、早急に標準のオール1に変更するべきである。そのため、PLAINセンターでは、近く所内ネットワークにおけるブロードキャストアドレスの一斉変更を計画している。しかしながら、この変更を行うのには、ネットワークに接続するすべてのコンピュータ等のノードに対して一斉に行う必要があり、各ノードの管理者にご協力いただく必要がある。実施に当たっては、是非ともよろしくご協力お願いいたします。   
(松方 純)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
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