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第2号 1993年11月5日発行

目次


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スーパーコンリプレースについて その2

 まず、スーパーコンピュータ全体の構成を下図に示します。前回はスーパーコンピュータとしての最大性能についてお話ししましたが、ベクトル化が不十分なスカラーの計算に対してもこの計算機は威力を発揮します。各プロセッサのスカラー演算器は新たに開発されたもので、これまでの汎用機のものとだいぶ違う造りとなっています。従ってプログラムによって差異がでる可能性がありますが、おおむねセンターシステムの汎用機 M1800/20 の1プロセッサ程度の性能がでるはずです。

 このスーパーコンピュータには GSP (Global System Processor) と呼ばれるフロントエンドの計算機がついています。 このプロセッサの役割はユーザーのジョブ投入を受け付けたり、ディスクとのIOを司ったりします。いわゆるフロントエンドプロセッサトいわれているものといえます。実はこの GSP 自身もスカラー、ベクトル両方の演算器をもっていて、それ自身小さなスーパーコンピュータとしても機能します。スカラー演算器は M1800 と同じものですから、(ベクトル演算器を使用しないのはもったいない話ですが)スーパーコンピュータ向けに書かれたプログラムでなくてもかなり高速に演算できます。 GSP に対して、7つの PE は総称して BEP (Back End Processor) と呼ばれます。 GSP と BEP とは下図に示されているように SSU と呼ばれる拡張記憶装置(メモリーよりは遅いが、ディスクよりはかなり早い IO 装置)を介してデータのやりとりをします。この拡張記憶は、ディスクデータのキャッシュとして、また、スワップの際のデータの一時保存の場所として利用できます。これまで汎用機上で@限られたメモリーしか利用できないことから、多くのディスクアクセスをせざる@を得なかったユーザーの皆さんには、大きなメモリー空間と SSU 利用によるディスクアクセススピドの軽減化を今後の@研究に生かしていただきたいと思います。

 オペレーティングシステムは多くのユーザーの皆さんが望んでいた UNIX です。ユーザーに直接見えるのは汎用機のそれと同じ UXP/M となります。ジョブの投入は UNIX の経験のある方ならご存じの NQS (Network Queing System) を用いて行います。将来的には各研究室のワークステーション上などからもNQS によってジョブの投入ができますが、当面は運用を考えて一旦スーパーコンピュータの GSP にログインしてジョブを投入していただくことになります。ジョブクラス等の詳細は現在設計中ですが、導入までに何回か説明会を開催したいと考えています。

 機種の選定にあたっては、特定のユーザーだけでなく、できるかぎり多くのユーザーに利用していただけるものを重視してきました。しかし、新規計算機の導入は、利用初期において必ず様々な障害や不都合があらわれるものです。計算機運営委員会としては、運用に関しても、利用しやすいものを作成していくつもりでおりますが、不満な点も多々でてくることも予想されます。この点に関しては利用者の皆様のご協力をお願いしたいと思います。

 この2年間の手続きの間に、所内の多くの方に様々なご意見を聞いてきました。また、性能評価試験のためのプログラムを準備していただいた方もおられます。それらの方々と、事務上の煩雑な手続きをこなしてこられた管理部、主計課、契約課の方々にこの場をかりてお礼申し上げます。        



(藤井 孝蔵)


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SIRIUS の現状

 科学衛星によって取得された衛星観測データは、 SIRIUS システムによって昭和 55 年以来管理され、処理・解析の用に供されています。現在宇宙科学研究所の 17 テ衛星のデータが管理されており、そのデータ総量は 1 テラバイト (1,000,000,000,000 バイト) 余、データ件数は 10 万件に達する巨大データベースシステムです。現在、5 機の衛星が活動中で過半数のデータが海外受信され、年間 400(ギガバイト)という脅威的な速度でデータが増加しています。ちなみに「ぎんが」衛星が 5 年間の一生に取得した全データが 40 GB ですから、まさしく脅威的な数値です。このような膨大な全衛星データをオンラインで直接利用できるシステムは世界でも類を見ず、データ解析に威力を発揮しています。

 下図にシステムの概念構成を示しています。次回はシステムの詳細についてお話ししたいと思います。


 
(加藤 輝雄)


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読者の声

 ネットワークの利用者のためのニュースなら、電子的形態で、配布(電子掲示板、電子メール)するのが適当ではないでしょうか。
(橋本 樹明)

(編集委員会)
 早速、ご意見を電子メールでたまわり、ありがとうございました。PLAIN センターニュースの出版形態としては、アノニマス ftp 等による電子的な配布の二本立てを考えています。準備ができしだいお知らせいたします。


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大型計算機に関するお知らせ

(1) VPP500導入に伴い

 NLP,MT等の電源切換え工事が下記のように行われます。

日時:11月19日(金) 8:00〜11:00
場所:B棟1階オープン室
 尚、大型計算機は予定通り運転します。  

(2) VP200は

 12月16日(木)18:00で運転終了します。
 計算結果は翌日以後もM1800により取りだし可能です。
 尚、長時間ジョブは16日朝で入力停止となります。

(3) M1800は

 VP200,VPP500の撤去・搬入工事に伴い
運転一時停止: 12月17日(金)9:00〜12月20日(月) 終日
運転開始: 12月21日(火) 9:30 となります。

(4) 大型計算機の年末・年始運転スケジュール

運転終了:12月27日(月) 18:00 まで
連続運転:12月23日(木)、12月25日(土)、12月26日(日)
システムメンテ :12月28日(火)、 1月 4日(火)
運転開始: M1800,VPP500は 1月 5日(水) 9:30から
M770#2は衛星運用のため1月 4日(火) 13:00より運転可能です。
(関口 豊)


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