もともと宇宙研は,衛星は小さくても独創的なアイデアでチャレンジする,いわばゲリラ戦で成功してきました。例えば,「はやぶさ」はとても独創的な試みです。小惑星のサンプルを持ち帰ることができれば,太陽系の成り立ちを調べる最良の研究材料となり,新しい学問分野が切り拓かれます。しかし「はやぶさ」2号・3号を誰が担うのか。1号のチームには,同じことをやるのは嫌だという人もいるでしょう。それはゲリラとして,とても正常な感覚です。一方で,「はやぶさ」2号・3号を担当して新しい学問分野の確立に殉じたり,国際協調などで大きな衛星を担う,いわば正規部隊も必要です。JAXAの中で両方のバランスをうまく取っていかないと,日本の宇宙科学はこれ以上発展しません。そのための体制作りが,私たちの世代の役目だと思っています。