No.286
2005.1

新年のごあいさつ

ISASニュース 2005.1 No.286 


- Home page
- No.286 目次
+ 新年のごあいさつ
- 宇宙科学最前線
- お知らせ
- ISAS事情
- 科学衛星秘話
- 宇宙の○人
- 東奔西走
- いも焼酎
- 宇宙・夢・人
- 編集後記

- BackNumber

鶴田浩一郎 宇宙科学研究本部長 


 明けましておめでとうございます。

 ご承知の通り,私たちのJAXAが誕生したのは1年3ヶ月前です。しかし,本当の意味でJAXAが生まれるのは今年ではないかと思っています。JAXA発足直後に起こったロケットや衛星の不具合に対し,JAXAは全組織を挙げて原因の究明に当たり,今後の不具合防止に取り組んできました。その意味では,JAXAは確かに誕生し,機能しているといえます。しかし,新生JAXAが一致団結して,「何をすべきか」「どこに向かって進もうとしているか」を明らかにすることは,まだ道半ばです。今,その作業が長期的ビジョン/中長期戦略検討委員会という形で進められています。

 JAXAが進む方向の一つが「宇宙科学をすすめる」ことです。この数十年の間に,宇宙の理解は急速に進み,同時に新しい謎も生まれてきました。「宇宙では,未だ直接の観測ができていない“暗黒物質”や“暗黒エネルギー”が主役らしい。私たちになじみの深い星や銀河は宇宙の数%を占めているにすぎないのではないか」といった大変な説もその一つです。一方で,生命が宇宙における物質の普遍的な形態の一つなのか,あるいは地球に固有なものなのか,という大きな課題への重要な手掛かりが,近い将来の火星や木星の月の探査から得られることが期待されます。これらは,ほんの一例にすぎません。宇宙科学と総称される領域には,科学にとって,人類にとって,重要で本質的な課題がひしめいています。

 JAXAは,NASAやESAに比べて小さな規模ではありますが,宇宙科学の本質的な問題を正面切って提起し,問題解決の筋道を立て,それを実施していく力を持った自立した組織になったと考えられます。科学のコミュニティとの緊密な連携を図り,宇宙科学の重要問題を解決していく素晴らしい展望を出せる年になることを願って,新年のあいさつとします。

(つるだ・こういちろう) 


#
目次
#
宇宙科学最前線
#
Home page

ISASニュース No.286 (無断転載不可)