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「はやぶさ」の今後のスケジュール

 MUSES-C(「はやぶさ」)は,5月9日に無事打ち上げられ,その後も順調に飛行しています。搭載されている各種の観測機器や,姿勢軌道制御装置,データ処理装置の機能の確認も一通り完了し,現在はイオンエンジンの定常運転を開始したところです。

 高性能のイオンエンジンと聞くと,F1マシンさながらに,あるいは宇宙戦艦ヤマトのようにぐいと加速するイメージを持たれる方が多いのですが,それはかなり違っています。「はやぶさ」のイオンエンジンの推力は,1円玉2枚分ほどの力でしかありません。これで軽自動車くらいの「はやぶさ」を加速するわけです。これでも1年間駆動すると,時速で4500kmまでの加速することができます。これに必要な「燃料」(燃やすわけではありませんが)は,20kgほどです。ちょうど軽自動車を満タンにして加速させる場合と同じようなものですが,これだけで太平洋を2時間で横断するほどの速さまで加速することになります。

 イオンエンジンは,今後9ヵ月くらいの間,ほぼ連続して運転される計画です。順調にいけば来年の3月くらいからは一旦運転を止め,5月に地球の重力の助けを借りてさらに加速させることになります。

(川口 淳一郎) 

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「はやぶさ」と「とらのこ」

 宇宙科学研究所の人工衛星・探査機の打上げの度に,OP(オペレーション)班が作成する「性能計算書」という書類があります。ロケットの飛翔計画,衛星・探査機の初期軌道計画をまとめたもので,関係する一部の実験班にしか配られませんが,その書類にはそれぞれ名前がつけられています。1966年L-4S-1号機の「Hatellite」から始まり,「Seventh Star」などの『たばこシリーズ』,1980年M-3S-1号機からは,現在に続く『酒シリーズ』で,衛星計画にちなんだ()酒のラベルを見つけてきてはオリジナル版を作ります。といっても「性能計算書」の表紙の上だけで,オリジナルラベルで売り出すわけではありません。

 今回の「はやぶさ」の打上げ用に選ばれたのは佐賀県のお酒『虎之児』。選定者の的川ISASニュース編集長の推薦の弁は,「 MUSES-Cの性能計算書の表紙を飾る酒のラベルを考えていて,ふと山頭火を思い出しました。つたない記憶をもとに全集を紐解いていくと・・・・。あったあった!

 まさにMUSES-Cがめざす小惑星にぴったり。小惑星は,太陽系の起源と進化を探るための,まさに「虎の児」ですから。

 MUSES-Cが,イオンエンジン,高度な自律機能,独創的なサンプル収集,惑星間空間からの直接帰還などの技術を最大限確立して,来るべき小天体サンプルリターン時代の基礎をがっちりと築いて欲しいとの願いを込めて,ここに銘酒『虎の児』を送ります。奇しくも,このたび松尾弘毅先生を継いで宇宙科学研究所の所長になった鶴田浩一郎先生の故郷,佐賀の一品です。(後略)」

 さて,お酒が決まれば,後はコントロールセンターに集まる若手の面々の出番です。「此君名聲走千里」が「此機宇宙翔千里」,「お酒は20歳になってから」が「回収は4年経ってから」,「開栓には十分注意して下さい。」はそのままいただき,「製造年月」は「到着年月 2005年6月」,電話は「1998SF36(目標の小惑星の名)」という具合。酒造会社名は「川口酒造」と探査機主任の名前を配させていただきました。一体いくつひねりが加えてあるか探すのが実験班のちょっとした愉しみとなりました。

 打上げ成功後,ラベルを使わせていただいた井手酒造からは,「虎は千里往って千里還ると申しますが広い広い宇宙で勢いよく活躍し役目を果して無事帰還することを心より祈っております。虎がわが児を思う深い情のように,,」とのお祝の言葉とともに銘酒『虎之児』が屆けられ祝賀の宴を盛り上げてくれました。

(周東 三和子) 

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「宇宙航空研究開発機構」の理事長,英文名称等決定

 5月20日,今年10月1日に宇宙科学研究所(ISAS),航空宇宙技術研究所(NAL),宇宙開発事業団(NASDA)が統合して発足する「宇宙航空研究開発機構」の理事長になるべきものとして現宇宙開発事業団理事長の山之内秀一郎氏が文部科学大臣より指名されました。

 また5月23日には英文名称と略称,ロゴが発表されました。英文名称 Japan Aerospace Exploration Agency(JAXA=ジャクサ)は “Exploration”に探査だけでなく,研究・開発まで含む広い意味を持たせています。ロゴではAerospaceAに星を意匠化していますが,星は「希望」,「誇り」,「探求心」の象徴であり,また私たちに道を示してくれる道しるべでもあります。

 JAXAも日本の星となって,燦然と輝きたいとの願いを込めています。

(統合広報チーム) 


英文名称とロゴマークを発表する山之内初代理事長(左)と角野宇宙飛行士

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