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用語解説
振動試験
フライトオペ
DASHの近況

 DASH実験は,当初2000年冬期の打ち上げを目指して開発を進めてきたものであるが,打ち上げロケットの関係で,現在のところ1年の延期となる見通しである。打ち上げが延期になったため,スケジュールは多少のゆとりをもって進められて来ている。現在総合試験がほぼ終了に近づきつつあるが,いかんせん,そのサイズから言っても若輩もので,他の衛星スケジュールを縫いつつ行われている。振動試験など,ひやひやしながら見守ったこともあるが,幸い大きな問題が生じないですんでいる。この後,多少の取りこぼしの試験をこなすと,12月に予定されるフライトオペまでつかの間の休眠状態に入ることになる。一方,サハラ砂漠での実験機回収をするための訓練も行われて来ており,ほぼ全体の準備が整いつつある。今後は,回収のための備品送り出し作業が9月末あたりより開始し,11月末のフライトオペ準備の開始をもって作業が動き出すことになる。関係者の皆様,もうひとふんばりお願いします。

(安部隆士) 


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用語解説
計器合せ
地磁気地方時
噛み合せ試験
SS-520-2号機の計器合せ

 本年11月末にノルウェーのスバルバードロケット実験場から打ち上げられる予定のSS-520-2号機計器合せ7月27〜28日2日間にわたって飛翔体環境試験棟で行われました。スバルバードロケット実験場は北緯79度,北極点まで約1000kmという世界最北端にある射場で,ここが選ばれた理由は勿論このロケット実験の目的のためです。磁気圏の昼間側境界を通る磁力線が極域の狭い所に楔状に集まってくるカスプと呼ばれる場所があります。カスプの磁力線が地上のどこに来るかは太陽風の動圧や磁場の極性によって変わりますが,平均的にはスバルバード,地磁気地方時は正午付近になります。11月末という打ち上げ時期は,上層大気および地上観測に対する太陽光と月光の影響を最低にするという条件から決められました。カスプには太陽風プラズマが低高度まで侵入してくると同時に上層大気のイオンが磁力線に沿って地球から大量に逃げ出していることが,「あけぼの」衛星の観測結果などで見つかっています。普通は地球の重力に束縛されているはずの重イオンが脱出するためには,何らかの特別の加速・加熱機構が働いているはずで,それは1000km程度から上の高度で始まると考えられています。また,ヨーロッパ非干渉性レーダ(EISCAT)を用いた最近の観測によると,電離圏イオンの上昇流は数百kmの高度から始まるという結果も出てきました。SS-520-2号機の目的は正にその加速・加熱の起きているところにロケットを打ち上げて,その物理機構を調べようというものです。この研究は最近注目を浴びているテーマのつで,カナダ,ヨーロッパ,アメリカの研究者達も大きな関心を寄せており,一緒に共同研究するよう計画されています。

 このロケット実験が提案されたのは4年以上も前のことですが,遂に最後の詰めの段階にさしかかってきました。今回の計器合せでは予想外の不具合も幾つか発見されましたが,いずれも対処可能なものばかりでした。今後,8月末からの噛み合せ試験10月中旬の発送,11月中旬からの現地オペに向かって,追込みに入ろうとしているところです。

(向井利典) 

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