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実際にしている仕事はどんなことなの? |
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宇宙生物学*の研究をしています。宇宙実験のときには、打上げ場所で、ロケットやシャトルにのせるまでのいきものの世話や実験の準備、宇宙実験と結果を比べて宇宙での影響を知るための地上での対照実験をします。帰還するときには、帰還地などでいきものを確実に受け取り、帰還してすぐの、いきものの観察や解剖をすることもあります。地球の環境に再びなれるまでのようすも観察します。宇宙実験はいつでもできるわけではないので、自由落下や飛行機のパラボリックフライトという飛び方でのすごく短い時間(数秒から数10秒間)の無重力を利用したり、重力の方向がわからなくなるように、いきものをいろいろな方向に回したり、遠心機を使って逆に地球の重力より大きな重力にして実験します。このような地上での実験や宇宙実験の計画や予備実験をしています。パラボリックフライトの飛行機にいきものといっしょに乗って、自分も無重力を体験しながら実験の操作をすることもあります。
*宇宙生物学:宇宙人や宇宙のいきもの(宇宙生物?)の研究ではなく、地球のいきものをもっとよく知るために、地球の外、宇宙へ連れて行って調べるという研究をしています。地球にいきものが生まれたのは、36億年も昔のことですが、それからずっと重力や地磁気があり1日は24時間であったりする地球の環境の中で、生活しています。こういうことは、わたしたちにはあたりまえで、ふだんはとくに考えませんが、地球のいきものの生活にとって、本当はだいじなことなもかもしれません。これまでにニホンアマガエルは宇宙でどんな行動をするか?、アカハライモリの卵は無重
力でも受精(精子と合体すること)できるか?そのあと卵はオタマジャクシまで無事に育つか?などの宇宙実験を行いました。
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子供のころはどんな子供だったの?
好きなものとか、夢中になったものは何? |
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植物でも動物でもとにかくいきものが大好きでした。自分の食べたフルーツのたねを必ず植えてみて芽が出るのを楽しみに待ったり、自然の中でちょう、バッタ、アリなどの虫や鳥やカエル、トカゲなどを飽きることなく見ていました。ときには自分で飼って、さなぎからちょうになる瞬間に感動したり、卵から出たばかりのミニチュアのようなかわいいトカゲの子どもに喜んだり、カタツムリの食欲に驚いたりしました。またマンガや絵を描くことが好きでした。絵を描くことは、現在の仕事にもおおいに役に立っています。
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どうして宇宙の仕事をしたいと思ったの? |
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「いきもののことがもっと知りたい」といつも考えていたので、大学・大学院では「生物学」を勉強していましたが、そのころは「宇宙」というのは、自分の研究とはまったくかけはなれたものだと思っていました。就職するときには、とくに宇宙の仕事がしたいと思っていたわけではないのです。就職先を探しているうちに、「生物学」の中には「地球のいきもののことをもっと知るための宇宙生物学」という研究があるのを知り、初めて興味をもちました。
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これから宇宙開発、宇宙研究はどうなるの?
どうなればいいと思いますか? |
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「宇宙生物学」研究についての意見です。「宇宙生物学」という分野は始まったばかりで、最近やっといろいろな結果が出てきたところです。地球のいきものについて知るためのよい方法のひとつであるということがわかってきたところです。現在では宇宙生物学実験を行う機会も少なく、一度行った実験の再実験や発展させた実験などなかなかできない状況です。今後、宇宙ステーションなどがうまく利用できるようになって、もっと簡単にひんぱんに実験ができるようになるように期待しています。そしてさらに、研究者自身が宇宙に行って自分で実験ができるようになったらいいです。そのためにも人間やいきものに対する宇宙の環境の影響を調べる「宇宙生物学」の研究をさらに進める必要があります。

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地球の子供たちにメッセージをどうぞ! |
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自分が何をおもしろいと思うか、何に興味があるかを知って、それをどんどんふくらませていくことがとくにたいせつです。おもしろいと思ったことを自分なりにもっとよく知ろうとすれば、もっともっとおもしろくなるでしょう。それを進めていけば
そ
の道ではだれにも負けないという自信もわいてくるでしょう。それを将来の仕事に結びつけていきたいと希望を持ちつづけていくこともだいじだと思います。楽しみながらがんばりましょう。
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