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大気球実験B12-02 終了
2012年6月9日(土)午前3時35分に、小型タンデム気球の飛翔性能試験を目的としたB12-02実験(研究代表者:JAXA宇宙科学研究所 齋藤芳隆准教授)として、2012年度第一次気球実験の2号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積15,000m3(直径33m)の大型気球で、およそ毎分210mの速度で上昇しました。
高度26.5kmを上昇中にスーパープレッシャー気球の加圧がはじまりましたが、気球の内外圧差が600Paに達した時点で気球からのヘリウムガスの漏れが発生し、使用耐圧(720Pa)での耐圧性能の確認には至りませんでした。その後、バラストの投下により高度を30.4kmまで上昇させたのち、ヘリウムガスの排気により浮力を減じて日没を模擬し、タンデム気球システムの挙動を調査しました。7時15分に指令電波により切り離した気球および制御機器部は、大樹航空宇宙実験場東方約30kmの海上に緩降下し、8時15分までに回収船によって回収されました。
本実験では、網をかけるという新しい手法により軽量で高耐圧性能を実現した体積3,000m3(直径20m)のスーパープレッシャー気球と体積15,000 m3のゼロプレッシャー気球から成るタンデム気球システムの性能試験を行いました。本試験により、疑似日没に対するタンデム気球システムの応答や、気球内ガスと大気圧の圧力差の時間変化など、タンデム気球システムの開発に必要となるデータを取得することができました。初めての試みであったスライダー放球装置による連結された二つの気球の放球方法、タンデム気球の初期上昇速度の設定等に関する今後の課題も明らかになりました。今後、データ解析を進めてタンデム気球システムの飛翔時の挙動を理解すると共に、今回の試験で明らかになった課題を解決し、タンデム気球開発を続けていく予定です。
放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒2.5 m、気温:摂氏10度でした。
本実験をもちまして2012年度第一次気球実験を終了します。ご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。
二つの気球からなるタンデム気球がJAXA格納庫内にてヘリウムガスを充てんされたようす。 |
連結された二つの気球。左上がゼロプレッシャー気球、右下がスーパープレッシャー気球。 |
放球直前のタンデム気球B12-02号機。 |
2012年6月11日