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大気球実験B10-03 終了

2010年8月27日(金)5時41分に、俵型気球の飛翔試験を目的としたB10−03実験として、平成22年度第二次気球実験の2号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積5,000m3の俵型圧力気球で、およそ毎分250mの速度で上昇しました。

気球は、放球1時間45分後に大樹航空宇宙実験場の東南東約90kmの太平洋上において高度25.2kmに達し、気球が完全に展開した状態で気球内部の圧力が外部大気圧より高い与圧状態となりました。しかし、内部圧力が上昇していく途上、7時25分に気球内外の圧力差が64Paの状態で気球下部のフィルムが裂け、与圧状態を維持できませんでした。その後、気球から観測器を切り離すと同時に気球頭部を切り裂き、気球および観測器は8時までに大樹航空宇宙実験場の東南東約120kmの海上に降下しました。

本研究は、将来高度35km程度を浮遊する飛翔経路を制御可能なパワードバルーンを実現するために、通常のゼロプレッシャー気球より空気抵抗が一桁小さな気球形状である俵型圧力気球の開発を目的としています。本実験では、満膨張体積5,000m3の小型モデル機の飛翔試験を行い、成層圏環境下において気球が完全展開に至る膨張過程を確認することができました。また、圧力気球用の気球破壊機構の動作を確認することもできました。当初予定していた圧力より小さな内外圧力差で気球フィルムが裂け、与圧状態を維持できなかった要因については、内外圧力差の履歴や気球の展開過程を撮影した映像などから調査を進め、今後の研究開発に反映させる所存です。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速:毎秒2.5 m、気温:摂氏17度でした。

俵型圧力気球へのガス充てん作業

俵型圧力気球へのガス充てん作業

放球直後の俵型圧力気球B10-03

放球直後の俵型圧力気球B10-03

完全に展開し高度25.2kmで与圧状態に達した俵型圧力気球

完全に展開し高度25.2kmで与圧状態に達した俵型圧力気球(気球に吊り下げたカメラから上向きに撮影した画像)

2010年8月27日

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