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観測ロケットS-520-24号機打上げ日程
ロケット飛行中の微小重力環境を利用した結晶成長のメカニズム解明を目的とした観測ロケットS-520-24号機の打上げ実験は、下記日時に終了しました。[8月4日更新]
打上げ日時:2008年8月2日(土)17時30分
打上げ場所:内之浦宇宙空間観測所
打上げ準備のようす
電波テスト(7月29日) |
電波テスト(7月29日) |
ロケットのランチャ載せ(7月28日) |
実験内容
【ロケット飛行中の微小重力環境を利用した結晶成長実験】
実験の目的
ロケットの弾道飛行で得られる数分間の微小重力環境を利用して、対流のない環境での結晶成長の過程をリアルタイムで調べるための以下の2つの実験を実施します。
- 最先端材料などに使われるファセット結晶(平らな面を持つ水晶状の結晶)の成長のその場観察:結晶の形とその周りの融液の温度分布が変化していく画像を、レーザー干渉法により取得します。
- 新しいダイヤモンド合成法(グラファイト通電加熱法)に関する基礎研究:反応ガス中でグラファイトを通電加熱してダイヤモンドが合成される過程を、ガスの成分変化に注目して分光法により計測します。
実験の概要
本ロケット実験の目的は先に述べたロケット飛行中の微小重力環境を利用した結晶成長実験にありますが、これを達成するために、
a)水晶状結晶の材料(融点42℃)の温度制御のため、打ち上げ前のロケット周囲の気温が35℃以下であること。
b)ロケットの保安や弾道飛行に影響を与えない天候であること。
このような条件下で打上げを行います。
到達高度 | 水平距離 | 全長 | 直径 | 全重量 | 共同研究 | |
---|---|---|---|---|---|---|
S-520-24 | 263.8km | 402.7km | 9m | 0.52m | 2.3t | 帝京科学大学 |
搭載器名 | 観測項目 | 担当 |
---|---|---|
共通光路型顕微干渉計 | 結晶の形状や温度場の変化 | JAXA宇宙科学研究本部 |
結晶成長制御・温度測定装置 | 試料中の温度モニター | JAXA宇宙科学研究本部 |
通電加熱式ダイヤモンド合成装置 | ダイヤモンド合成 | 帝京科学大学 |
超小型分光器 | 反応ガス種の分光測定 | 帝京科学大学 |
(参考)社会への貢献
ファセット結晶成長
ファセット結晶成長に関する基礎研究は、半導体やその他の最先端材料の量産化や特性向上につながる。
例えば・・・
- 太陽電池パネルで用いられる多結晶シリコンを効率良く製造することができ、クリーンエネルギーの普及に貢献する。
- 超伝導材料の特性を向上させ、リニアモーターカーなど大量輸送手段の普及や、携帯電話の基地局など情報通信網の拡充に貢献する。
ダイヤモンド合成
- 工具や放熱板などに広く用いられている工業用ダイヤモンドや、新素材として期待されているナノ・ダイヤモンドの量産化、安定供給につながる。
- グラファイト通電加熱法では、反応ガスを替えることで近年特に注目されている炭素系ナノ材料の極短時間(秒単位)での合成も可能。
2008年7月14日