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「かぐや」、地形カメラによりアポロ15号の噴射跡を確認
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、月周回衛星「かぐや(SELENE)」に搭載している地形カメラ(TC)の観測データに基づき作成した立体視画像により、アポロ15号(※1)のエンジンの噴射によって生じた「ハロー」と呼ばれる噴射跡と考えられるものを確認しました。
この画像は、平成20年2月24日に地形カメラがアポロ15号の着陸地点(雨の海を取り囲むアペニン山脈の麓、ハドレー谷付近)を観測したデータを、研究者チームが処理を行い作成したもので、アポロ15号の噴射跡とみられるものが観測で確認されたのは、アポロ計画終了後としては、世界で初めてのことです。
あわせて、アポロ15号飛行士が撮影した写真と同じ風景を地形カメラの立体視画像から作成し、地形カメラの観測精度が高いことを確認したほか、同じくアポロ15号において確認されたハドレー谷の上部に30数億年前に噴出した溶岩流が積み重なる様子も把握できました。
- ※1 アポロ15号は、アポロ計画における第9番目の有人飛行ミッション、第4番目の月着陸ミッションであり、1971年7月26日に打ち上げられ、7月30日に月面に着陸し、8月7日に地球に帰還した。このミッションは以前のアポロミッションに比べて科学調査をより重視し、月面に長時間滞在することを目指した最初の「Jミッション」である。
図1 アポロ15号の着陸地点付近の地形カメラの立体視画像 [画像クリックで拡大画像] |
図2 アポロ15号の着陸地点の地形図(☆はアポロ15号着陸地点、赤矢印が図1の立体視画像の見ている方向) |
図3 図1の「ハロー(噴射跡)」とみられる付近の地形カメラの拡大画像(左図は、1km四方の画像。赤い円が「ハロー(噴射跡)」と考えられる場所。) |
図4 アポロ15号の着陸前後の着陸地点の月面の変化(左が着陸前、右が着陸後) |
図5 地形カメラ立体視とアポロ宇宙飛行士の撮影画像(左が地形カメラ、右がアポロ) [画像クリックで拡大画像]
地形カメラのデータからは、視点を自由に変えられる3次元画像を作成することができます。ここでは、アポロ15号飛行士が撮影した写真(右図、NASA提供AS15-82-11122HR)と同じ風景を地形カメラの立体視画像から作成しました(左図)。地形カメラの立体視画像では、宇宙飛行士の撮った写真に写っている小さな岩塊や月面車などの地形カメラの解像度である10mより小さいものは再現されていませんが、遠方の山々の形や丘のようななだらかな地形はほぼ忠実に表現されており、地形カメラの観測精度が高いことがよくわかります。
図7 ハドレー谷付近の立体視画像 [画像クリックで拡大画像] |
2008年5月20日