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「あかり」、超新星爆発から宇宙塵が誕生する現場を捉える!

東京大学、宇宙航空研究開発機構、北海道大学、広島大学などの研究者からなるグループは、赤外線天文衛星「あかり」衛星を用いて、板垣公一さんによって発見された超新星2006jcの観測を行い、すばる望遠鏡、MAGNUM望遠鏡、かなた望遠鏡などによる継続的な地上観測との連携の下、その謎の解明に取り組みました。

その結果、超新星爆発によって終焉を迎えた星が宇宙空間に撒き散らす物質中で、惑星や生命体などの原材料である宇宙塵が誕生する現場が、初めて詳細に捉えられました。同時に、これらの可視光から赤外線にかけての多波長で行われた観測データと、最新の理論モデルの比較を通して、太陽の40倍以上の質量の星が一生の中で度重なる質量放出活動を経て超新星爆発に至るまでの描像を得ることに成功し、その過程で形成された炭素質や珪素質の塵が化学的に豊かな宇宙環境を作る様子を明らかにしました。

これらの研究結果は、日本天文学会2008年春季年会において発表されます。

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図1b [画像クリックで拡大画像]

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図1a:「すばる」望遠鏡の捉えた超新星爆発後間もない頃の超新星2006jcの可視光画像(波長550ナノメートル)
図1b:「すばる」望遠鏡の捉えた爆発の半年後の超新星2006jcの可視光画像(波長550ナノメートル)
図1c:「あかり」衛星搭載の近・中間赤外線カメラの捕えた半年後の超新星2006jcの赤外線画像(波長3マイクロメートル)

爆発から約半年後の時点で、超新星は可視光ではすっかり暗くなっていますが、「あかり」衛星は超新星周囲で新たに誕生し赤外線で明るく光る塵をはっきりと捉えています。

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図2:「あかり」衛星に搭載されている近・中間赤外線カメラが捕らえた、爆発から約半年後の超新星2006jc及び母銀河UGC4904の擬似三色合成図

3マイクロメートル(青)、7マイクロメートル(緑)、11マイクロメートル(赤)の撮像データより作成。一般的な恒星は青く見えるのに対し、超新星2006jcは銀河と同じくらい赤く輝いており、終焉を迎えた超新星周囲で誕生した塵の熱放射が捉えられています。

2008年3月24日

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