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「かぐや(SELENE)」、スペクトルプロファイラによる観測を実施
「かぐや」は、2007年11月3日の観測とその後のデータ処理により、搭載のスペクトルプロファイラが正常に観測を行っていることを確認しました。
スペクトルプロファイラ(SP)
スペクトルプロファイラ(SP)は、衛星直下の月面からの可視近赤外域連続反射スペクトルを観測する分光計で、広い波長域(500〜2600nm)、高い波長分解能(6〜8nm)・空間分解能(500m)により世界で初めて、月全球にわたっての分光観測を行います(図1)。2007年11月3日にスペクトルプロファイラの初期機能確認を行い、月の裏側において1,000km以上に渡る地域の連続反射スペクトル観測に成功しました(図2〜4)。
スペクトルプロファイラによる可視近赤外域連続反射スペクトルは、月面に分布する鉱物の種類と量の精密推定に利用されます。類似の分光観測は地球上の天文台からも行われてきましたが、月の裏側等が観測できないほか、地球大気の影響等のため、高い波長及び空間分解能を実現することは困難でした。また過去の月探査機からは限られた波長域での連続分光観測しか行われておらず、月面に分布する鉱物の詳細な情報を得ることは出来ませんでした。これに対し、スペクトルプロファイラでは、初めて裏側を含む月全球について広い波長範囲、高い波長および空間分解能での観測を行い、従来にない精度での鉱物の種類と量の推定に挑みます。
さらに鉱物の空間分布を観測するマルチバンドイメージャ(MI)や月面の元素分布を調べる蛍光X線分光計(XRS)、ガンマ線分光計(GRS)のデータと合わせて解析することにより、月面の物質に関する包括的な知見を得られ、月の起源と進化の研究を大きく発展させることができると期待されています。
LISM[地形カメラ(TC)・マルチバンドイメージャ(MI)・スペクトルプロファイラ(SP)]について(「かぐや」プロジェクトサイト)
図1 スペクトルプロファイラ観測原理 |
図3 スペクトルプロファイラの初データ |
図4 クレータ周辺のスペクトルプロファイラデータ及びマルチバンドイメージャ画像 (*)宇宙風化:月面表層が微小隕石の衝突や宇宙線の照射に長年さらされることによる変化。岩石中の酸化鉄は還元され鉄になる。 |
2007年12月14日