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大気球を使った無重力実験システムの動作試験に成功

2007年5月29日(火)6時03分に、2007年度第1次気球実験の2号機として、無重力実験システムの動作試験を目的としたB300-1号機を三陸大気球観測所より放球しました。この気球の容積は30万立方メートルであり、およそ毎分250 mの速度で正常に上昇しました。
気球は、放球2時間40分後に三陸大気球観測所東方80 km、高度41.0 kmで水平浮遊状態に入りました。その後、気球は西方に進行し、9時40分に無重力実験機を切り離しました。また、9時50分に指令電波を送信し、観測器を気球から切り離しました。
無重力実験機および観測器は、釜石沖合東方20 kmの海上にパラシュートで緩降下し、ヘリコプターと回収船によって無事回収され、気球も回収作業を開始しました。

本実験は、昨年5月27日に実施したB200-6号機の実験成果を受けて発展させたもので、気球により供試体を自由落下させ、30秒以上の良好な微小重力環境を得るシステムを実証するものです。
実験項目は、理想的な無重力を実現するための二重カプセル構造の制御手法の実証、可動翼が付いた機体の空気力学的特性の確認、超音速状態でのパラシュートの開傘および超音速からの減速の実証、300 kg程度の供試体を高度40 km以上まで飛翔させる高高度気球の実証にあり、これら全てにおいて所期の目的を達成しました。
また、無重力環境を利用した科学実験として搭載した、微小重力環境での燃焼状態を観測する実験では、熱対流の有無の違いによる火炎状態の相違が確認されました。 落下中に供試体より送出された通信データより、供試体落下から超音速パラシュート開傘までの35秒間、予定されていた全期間にわたって、制御系は極めて良好に動作したことが確認されており、長時間の安定した微小重力環境が得られたと考えられます。
今後、機体に搭載されていたデータ収集装置内の実験データなどを詳細に解析し、気球落下式無重力実験システムの開発に役立てていきます。

無重力実験装置

放球直前の様子

放球直後の様子

2007年5月30日

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