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めざせ到達高度世界記録、気球BVT60-3号機で挑戦

宇宙科学研究本部では、気球BVT60-3号機を2007年5月17日(木)午前6時から午前6時30分の間に放球する予定で準備を進めております。(放球場所:JAXA三陸大気球観測所(岩手県大船渡市))

本実験は、質量4kg程度の観測器をこれまでの世界最高到達高度(53km)を超える高度55km程度まで飛翔させるために極薄(2.8μm)の気球用フィルムを用いて開発した容積6万m3の超薄膜型気球の飛翔性能試験です。
なお、放球スケジュールは、当日の天候により延期することもあります。

実験期間(5月15日〜6月15日)中には、次のような大気球実験が計画されています。

1.B300-1(無重力実験システムの動作試験)

気球より供試体を自由落下させ、30秒程度の無重力環境を実現させるために落下体内部を二重カプセル構造とし、自由落下する内殻が外殻と衝突しないように制御を行う基礎データを取得する。本実験では30秒程度の無重力継続時間を目指し、高速域での姿勢安定のため尾翼を装着する。
(体積30万m3、直径91m、重量435kg、到達高度41.5km、観測機器重量410kg)

2. B100-17(成層圏大気のクライオサンプリング、成層圏大気採取予備実験)

成層圏の中層から下層にかけての大気微量成分(CO2、CH4、N2O、ハロカーボン類等)や主要成分 (N2、O2)の濃度や同位体の高度分布および経年変化を調べ、地球温暖化や成層圏オゾンの破壊の各種モデルの作製および検証のための基礎資料とする。同時に第49次南極観測隊において昭和基地で実施を予定している成層圏大気採取実験のための小型クライオサンプラーの性能試験を行う。
(体積10万m3、直径64m、重量294kg、到達高度36.0km、観測機器重量352kg)

3. B80-10(気球搭載望遠鏡による金星大気観測)

気球高度からの惑星大気光学観測は、シーイング、大気透過率、観測ウインドウ、コストなどの観点で地上大型望遠鏡に匹敵する観測が期待できる。極域での気球による24時間以上の惑星連続観測の予備実験として、気球搭載惑星望遠鏡システムの性能と、金星大気循環パターンの検出を確認することを目的とする。
(体積8万m3、直径59m、重量257kg、到達高度33.0km、観測機器重量375kg)

4. B50-49(自律制御降下システム性能試験、スーパープレッシャー気球用燃料電池の実証フライト

気球実験終了後に観測器を海上に降下させる際に、パラフォイルを用いて安全かつ確実に回収が可能な場所に自律制御により誘導降下するシステムの性能試験を行う。あわせて開発を進めている新しい基本搭載機器および燃料電池の性能試験を実施する。
(体積5万m3、直径49m、重量121kg、到達高度36.5km、観測機器重量150kg)

5. BVT60-3(飛翔性能試験)

気球用フィルムとして世界で最も薄い、厚さ2.8μm、折径140cmを用いて開発した容積6万m3の超薄膜型気球の飛翔性能試験を行う。この飛翔実験が高度60kmを目指す気球の誕生への道を開くものである。
(体積6万m3、直径54.6m、重量25kg、到達高度55km、観測機器重量3kg)

【BVT60-3飛翔性能試験気球荷姿図】

【気球の構成】

【気球移動範囲】

2007年5月10日

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