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赤外線天文衛星「あかり」初観測画像を公開!
赤外線天文衛星「あかり」には、近赤外線から遠赤外線までの幅広い波長範囲で全天の観測を行うために、2つの観測機器、遠赤外線サーベイヤ(FIS)と近・中間赤外線カメラ(IRC)が搭載されています(図1参照)。
図2から図3は、試験観測で取得された宇宙の赤外線画像の一部です。これまで使われていた宇宙の赤外線地図に比べて、解像度や感度が大幅に改善されていることがわかります。今後継続される本観測によって、赤外線による新しい宇宙の地図が作成され、銀河や星・惑星系の起源と進化の研究に、大きな成果が得られることが期待されます。
なお、遠赤外線サーベイヤは、情報通信研究機構からの検出器提供等を受け、名古屋大学、JAXA、東京大学、国立天文台等により開発されました。また近・中間赤外線カメラは、東京大学、JAXA等により開発されました。
「あかり」の運用とデータ処理は、上記国内研究機関と、欧州宇宙機関(ESA)、英国Imperial College London、University of Sussex、Open University、オランダUniversity of Groningen/SRON、及び、韓国Seoul National Universityとの国際協力により行われています。
図1「あかり」衛星と観測装置
図2「あかり」と従来の赤外線観測衛星IRAS(注)で撮像した画像との比較
図2−1 反射星雲IC4954の遠赤外線画像
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図2−2 反射星雲IC4954の中間赤外線画像
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「あかり」の2つの観測装置、遠赤外線サーベイヤ (FIS) と近・中間赤外線カメラ (IRC) による、反射星雲IC4954付近の赤外線画像。観測波長はそれぞれ90μm(マイクロメートル)と9μm。差し渡し十数光年のこの領域は太陽系から約6 千光年の距離にあり、数百万年前から星の形成が続いている。赤外線画像では、ガスや塵の雲に囲まれて可視光では見えない生まれたばかりの星や、星の原料であるガス雲の分布が明るく浮き出て見える。
2つの図では、それぞれ「あかり」が観測した画像が左側に、IRAS衛星による画像が右側に示されている。「あかり」は、これまでの赤外線画像よりはるかに高い解像度での観測に成功し、星が生まれている現場を正確にとらえている。
(注)IRAS (Infrared Astronomical Satellite):1983年に米・英・蘭により行われた世界初の赤外線天文ミッション。これまで宇宙の赤外線地図を提供してきた。
図3 渦巻き銀河M81の近・中間赤外線画像
近・中間赤外線カメラ (IRC) でとらえたM81の赤外線画像。観測した波長は、それぞれ3, 4, 7, 11, 15,
24μm(マイクロメートル)である。M81は、我々の銀河系からおよそ1200万光年離れたところにある渦巻き銀河。波長3及び4μmの画像では、塵に遮られることなくM81内の星の分布がきれいに見えている。波長7と11μmでは、M81内の星間ガスに含まれる有機物からの赤外線をとらえていると考えられる。波長15と
24μmの画像は、若い星により暖められた星間空間の塵の分布を示し、渦巻きの腕に沿って、星が作られる領域が分布していることがわかる。
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2006年5月22日