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めざせ到達高度世界記録、気球BVT60-2号機で挑戦

<お知らせ>
世界記録への挑戦、秋まで延期

世界最高高度を目指すBVT60-2気球の飛翔性能試験は、ジェット気流が北にあがったままで不安定かつ弱い状況にあるため、安定した飛行区域の確保が出来ないとの理由から、秋の第2次実験まで延期となりました。

宇宙科学研究本部では、気球BVT60-2号機をJAXA三陸大気球観測所(岩手県大船渡市)から放球する予定で準備を進めています。

 無人気球での世界最高到達高度は、2002年5月23日宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部)が達成した53kmです。本実験では重量3kg程度の観測器を、これを超える高度55km程度まで飛翔させるために、極薄(2.8μm)の気球用フィルムを用いて開発した、容積6万m3の超薄膜型気球の飛翔性能試験を行います。
 なお、放球スケジュールは、当日の天候により延期することもあります。
実験期間(5/19〜6/13)中には、次のような大気球実験が計画されています。

1. BVT60-2(飛翔性能試験)

容積6万m3、直径54.6m、重量25kg、気球到達高度55km、観測機器重量3kg 気球用フィルムとして世界で最も薄い,厚さ2.8μm,折径140cmを用いて開発した容積6万m3の超薄膜型気球を昨年度に続き飛翔性能試験を行う。この飛翔実験が高度60kmを目指す気球の誕生への道を開くものと期待している。

2. B200-6(無重力実験システムの動作試験)

容積20万m3、直径79m、重量300kg、気球到達高度40.5km、観測機器重量500kg 気球より供試体を自由落下させ,30秒程度の無重力環境を実現させるために落下体内部を二重カプセル構造とし,自由落下する内殻が外殻と衝突しないように制御を行う基礎データを取得する。

3. B100-14(高エネルギー電子・ガンマ線観測)

容積10万m3、直径64m、重量260kg、気球到達高度37.2km、観測機器重量180kg 将来のISSにおける電子,ガンマ線観測を目指して開発中のCALETのプロトタイプ観測装置を用いて,長時間の気球観測を行う。この観測により,電子については10GeVから1TeVの領域での精密なエネルギースペクトルと異方性を観測し,近傍ソースの発見に挑戦するほか,暗黒物質の存在量について制限を与える。

4. B100-15(成層圏大気のクライオサンプリング)

容積10万m3、直径64m、重量260kg、気球到達高度35km、観測機器重量350kg 成層圏の中層から下層にかけての大気微量成分(CO2、Ch4、N2O、ハロカーボン類等)や主要成分(N2、O2)の濃度や同位体の高度分布および経年変化を調べ、地球温暖化や成層圏オゾンの破壊の各種モデルの作製および検証のための基礎資料とする。

5. B150-7(かに星雲からの偏光硬X線観測)

容積15万m3、直径71m、重量350kg、気球到達高度38.5km、観測機器重量240kg かに星雲からの硬X線の偏光度を40keVから200keV程度のエネルギー領域で測定を行う。硬X線領域での偏光観測は、これまで行われたことがなく、成功すれば世界で初めての実験となる。

6. B15-87(飛翔性能試験)

容積1万5千m3、直径33m、重量80kg、気球到達高度30km、観測機器重量100kg 積層フィルムを用いたローブドパンプキン型圧力気球の研究開発を行っている。今回の実験では,地上試験において高い耐圧性能が確認された容積1万5千m3の気球を成層圏まで運び,気球環境下における性能試験を行い,地上試験での結果と比較検討することを目的に実験を行う。

2006年5月11日

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