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スーパープレッシャー気球の性能試験を実施

成層圏で長時間浮かぶことのできる「スーパープレッシャー気球」の性能試験を2006年2月1日と2日に福島県小野町民体育館にて実施しました。

スーパープレッシャー気球はガス圧を高めて封入するカボチャ型の新型気球で、排気口がなく、バラストも不要なため、成層圏で数ヶ月間飛び続けることができると考えられています。ただ、高い内圧に耐える丈夫な皮膜を軽く作るのは難しく、世界中で開発されているにもかかわらず実用化には至っていません。

JAXAはこれまで、宇宙科学研究本部大気球観測センターを中心に、グンゼ(株)や藤倉航装(株)などと共同で、ポリエチレン、ナイロン、エバールを5層に重ねた厚さ0.025ミリメートルの樹脂膜を開発してきました。気球の形状設計にも工夫をし、直径42メートルの「PB30」型と同55メートルの「PB60」型の各3分の1のモデルを製作しました。

今回の試験では、製作した気球に段階的に空気を注入して膨らませながら、その都度、内圧や形状などを計測することで、強度の確認と設計の妥当性の検証を行いました。2日目には限界まで空気を注入して最大耐圧能力を測定する破壊試験を実施しました。試験の結果、気球は成層圏での実用内圧の10倍である2000パスカルにも耐え、ほぼ設計基準である2089パスカルで破裂し、実験は成功しました(写真)。

今回の成功により、スーパープレッシャー気球の実用化に向け大きく前進したことになります。5月には実際に成層圏まで上げる飛行試験を実施する予定です。スーパープレッシャー気球が実用化されれば、宇宙や地球上のさまざまな観測が低コストで行えるようになると考えられています。

限界まで膨らませて膜の性能を確認する試験で破裂した瞬間の、
試験用の「スーパープレッシャー気球」

2006年2月9日

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