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イトカワの全球マッピング終了!
はやぶさはホームポジションで順調に観測を続けています。図1に10月後半の軌道履歴を示します。
図1:10月後半のはやぶさの軌跡。座標系の定義については、以前の記事を参照 |
はやぶさは、10月15日に黄道面内のホームポジションの端に達し、16日からはイトカワの極側の観測を開始しました。図2は搭載カメラが取得したイトカワの南極の画像です。
図2:搭載カメラが取得したイトカワの南極 |
高緯度域では、太陽高度が低くなるため影がのび、より詳細に地形をとらえることができます。これまでは比較的スムーズに見えていたミューゼスの海でも、かなりの凹凸が確認できます。また、ミューゼスの海以外の場所では、非常に多くの岩塊が存在しています。こうした岩塊のひとつがイトカワを離れて宇宙をとんでいるところを想像してみてください。下の表を見ると、こうした岩塊が十分地球に接近すれば、ひとつの立派な小惑星として観測できることがわかります。
接近した日付 | 小惑星の仮符号 | 接近距離 (地球中心から) |
直径 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2002年3月8日 | 2002 EM7 | 46万km | 約50m | 接近した後に発見された |
2002年6月14日 | 2002 MN | 12万km | 約80m | ワールドカップの最中に接近 |
2003年9月27日 | 2003 SQ222 | 88,000km | 約4m | |
2004年3月18日 | 2004 FH | 49,000km | 約20m | |
2004年3月31日 | 200f FU162 | 12,900km | 数m〜10m | 地表から約6500kmのところを通過 |
2004年12月19日 | 2005 YD5 | 34,000km | 約5m |
小惑星のかけらのなかには、地球に接近するだけでなく、大気に突入し地表にまで到達するものがあると考えてられています。隕石は、もともとこのような小惑星のかけらだったのではないかと推測されていますが、確定的な証拠はまだありません。はやぶさが取得し地球に持ち帰るサンプルは、科学者が長年にわたって議論してきた、隕石と小惑星の関連を解き明かすための鍵となるのです。
2005年11月1日