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三陸大気球実験班、超薄膜型高高度気球で初めて科学観測に成功

平成17年8月28日(日)7時40分に、平成17年度第2次気球実験のBU60-2号機を三陸大気球観測所より放球しました。この気球は平均速度310メートル/分で正常に上昇しました。放球2時問45分後に高度51.5kmに到達したところで、指令電波を送信し、気球頭部破壊機構を動作させ、気球を完全に破壊しました。気球および観測器は、東経I41度56分、北緯39度45分にパラシュートで緩降下しました。

 この気球は、宇宙科学研究本部が進めている超薄膜型高高度気球開発の一環として製造された厚さ3.4マイクロメートルのフィルムで作られました。また、容積は6万立方メートルで、平成14年度に高度53kmまで到達した気球の2号機で、今回初めて実際の科学観測に用いられました。

 本実験では、大気重力波とそのオゾン混合過程、地上から下部中間圏におけるオゾン高度分布を調べるため、電気化学式と光学式の2種類のオゾン観測器およびGPS受信機を用いて精密観測を行いました。大気重力波は大気中に存在する波動で大規模な大気循環を引き起こす役割を持ちます。また、最近では大気重力波によるオゾン混合効果も注目されています。今回の観測では、気球による大気重力波およびオゾン観測では初めて50kmを越え、下部中間圏に当たる 51.5kmまでの連続した高精度観測に成功しました。この観測により高度分解能5mの精度で、地上から下部中間圏までの広い領域での重力波パラメータの導出が可能となります。また、地上から下部中間圏のオゾンを直接測定することができ、これらの領域のオゾン変動を調べる貴重なデータを得ることができました。

 放球時の地上気象状況は、天侯:晴れ、風速:0.5m/秒、気温:摂氏20度でした。

2005年8月29日

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