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「すざく」搭載観測機器で小マゼラン星雲の超新星残骸の撮影成功

7月10日に打ち上げられた X線天文衛星「すざく」は、8月8日に3種類の観測機器の内の1つであるX線微少熱量計(XRS(注3))の観測能力を喪失しましたが、その後、8月12日夕方から13日夕方にかけた運用で、2つ目の観測機器である4台のX線CCDカメラ(XIS(注3))のカバーを開き、小マゼラン星雲にある超新星残骸(星の爆発の痕)のX線像を観測することに成功しました。
4台のX線CCDカメラ(従来型より性能を向上させた2種類のCCDを搭載)で得たX線像を図1に、また、その像から得られたX線スペクトル(注1)を図2に示します。
 まだ詳細な較正は済んでいませんが、X線スペクトル(図2)には、高温ガス特有の輝線(注2)が多数見えており、これまで見えにくかった500-700 eV付近の輝線をくっきりと示しています。 これは世界最高の性能を示しているものです。このエネルギー帯に見える輝線は、窒素や酸素が出すものであり、「すざく」の観測により、生命のもととなるこれらの元素の宇宙における生成・流転について、新しい知見が得られることが期待されます。
X線望遠鏡は、JAXA、名古屋大学、NASAゴダード宇宙飛行センターほか、またX線CCDカメラは、JAXA、京都大学、大阪大学、マサチューセッツ工科大学ほかが協力して開発したもので、今後の本格的な観測により多数の成果が期待されています。
なお、「すざく」は引き続き、3つ目の観測機器である「硬X線検出器」(HXD(注3))の立ち上げをまもなく行う予定です。

注1)X線スペクトル:各エネルギー帯のX線がそれぞれどれくらいの量放射されているかを示すもの
注2)輝線:ある元素の特有のエネルギー
注3)XIS : X-ray Imaging Spectrometer (図3参照)
   XRS : X-ray Spectrometer
HXD : Hard X-ray Detector

図1 4台のX線CCDカメラで得たX線像

左上:XIS-0 右上:XIS-1 左下:XIS-2 右下:XIS-3

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図2 X線CCDによるX線スペクトル

図3 「すざく」衛星概観と観測装置

2005年8月17日

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