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「はやぶさ」、小惑星イトカワの撮影に成功!

小惑星探査を目指す「はやぶさ」は、2003年5月9日に打ち上げられて以来、2004年5月19日の地球スウィングバイを経て、順調に飛行を続けています。8月12日現在、「はやぶさ」は、イトカワから約35,000kmの距離にあり、毎秒38mで接近していて、今月下旬、距離が3,500km、接近速度毎秒10mの時点までイオンエンジンを運転する計画で、イトカワ近傍に静止できるのは9月中旬の予定です。

これに先立ち、7月29日から30日、8月8日から9日、および12日に、「はやぶさ」搭載の星姿勢計(スタートラッカ)で到着目標である小惑星イトカワを捉え、のべ24枚の撮影に成功しました。また、これらの画像をもとに、地上からの電波による観測とを複合させて、「はやぶさ」探査機の精密な軌道決定が行われました。このような軌道決定は、世界的に初の試みといってよいでしょう。なお、「はやぶさ」搭載の狭視野光学航法カメラ(ONC-T)でも、8月下旬にかけて撮影が計画されており、撮影画像はホームページに掲載の予定です。

なお、2005年7月31日に「はやぶさ」探査機は、リアクションホイール(姿勢制御装置)3基のうち1基が故障し、2基による姿勢維持機能に切り替えて飛行中ですが、「はやぶさ」プロジェクトチームは、当初より2基の運用も想定していたので、運用に支障はなく、小惑星近傍での一連の科学観測とサンプル採集は可能であると考えています。
今後、新たな情報が得られるに従い随時、お知らせいたします。

注:星姿勢計(星の画像を撮影し、衛星の姿勢を計算するための装置)。

1.「はやぶさ」の星姿勢計(スタートラッカ)による小惑星イトカワの写真
2.「はやぶさ」から見たイトカワの予測位置と実際に撮影された位置
3.イトカワの明るさ
4.イトカワの軌跡(アニメーション)

1.「はやぶさ」の星姿勢計(スタートラッカ)による小惑星イトカワの写真

画像中のが、「はやぶさ」が撮影したイトカワと思われる天体です。明確に移動している天体であることがわかります(7月29日、8月8日、8月12日の画像の合成)。背景の星座は、「とも座」で、おおいぬ座とりゅうこつ座の間にあたります。地球から見てイトカワがそちらに見えるわけではなく、「はやぶさ」から見てイトカワがその方向に見えるということです。「はやぶさ」もイトカワも、地球から見ると太陽のすぐ右側に見えていることになります。
この何日かの間に急激に明るく見えてきていて、おそらくスタートラッカで見て4等星より明るくなっているものと思われます。

2.「はやぶさ」から見たイトカワの予測位置と実際に撮影された位置

イトカワが「はやぶさ」から見える方向を軌跡として示したものです。星座の区切りは載せていません。ところどころにスタートラッカで撮像した方向が描かれています。この結果は、イトカワと思われる天体が、まさにイトカワでなくては観測され得ない方向に撮像されたということを示しています。
軌跡が切れ切れになっているのは、イトカワに対する相対軌道が、光学航法または光学+電波の複合航法で更新されたために、見える方向の軌跡を改訂したためです。最後の8/12の撮像点以降は連続の軌跡になっていますが、これは軌道の推定がほぼ完了したことを示しています。

3.イトカワの明るさ

スタートラッカにより検出されたイトカワの明るさを、「はやぶさ」の位置からイトカワを観測した場合に予想される明るさの変化と比較したものです。予測は、昨年にイトカワが地球に接近した際に地上観測で決定された形状と自転運動と、「はやぶさ」の軌道位置から計算しています。(神戸大平田成氏提供)
明暗の時間変化がよく一致しており、識別された天体がイトカワであることを示す間接的な証拠です。

4.イトカワの軌跡(アニメーション)

2005年8月15日

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