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「はやぶさ」イオンエンジン本格的に再稼動

 5月19日に「地球スイングバイ」を果たしたはやぶさは、現在地球からの距離800万km(これは光の速さで27秒に相当します)の位置を飛行中です。5月27日には地球スイングバイ後のイオンエンジンの本格的な再稼動をし、小惑星「イトカワ」へ進路を向けて加速を行っています。

 目的地である小惑星イトカワに到達するために、はやぶさは今後太陽からの距離が次第に遠ざかる軌道をとります。はやぶさの主推進機関であるイオンエンジンは、電力で推進剤を加速しますが、その電力は2枚の太陽電池パネルから供給されます。本年夏以降、太陽からの距離が遠くなるにつれて、太陽電池パネルの発生電力が小さくなるため、それに応じてイオンエンジンの推力を調整(スロットリングといいます)したり、4つあるイオンエンジンの稼働台数を減らしたりして、電力供給とのバランスをとります。このようなフレキシブルな運転ができることもイオンエンジンの魅力なのです。

 現在はやぶさは太陽から見て地球の反対側、やや地球より公転速度方向に先行した位置を飛行しています、そのため地上のアンテナがはやぶさとリンクできるのは、真夜中から明け方にかけてとなっています。はやぶさの運用チームは、毎日夜中に地平線上に上ってくるはやぶさへ、コマンドを送ったりテレメトリを受信することで、イオンエンジンや姿勢制御系をはじめとする探査機各部の動作をコントロールしています。

真夜中にだけ許された、遠距離にいる恋人との無線通信、運用チームにとってそんな日々がしばらく続くことになりそうです。

「はやぶさ」プロジェクトチーム

2004年6月21日

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