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ASTRO-EII計画

ASTRO-EII計画は、2000年2月10日に軌道投入に失敗したASTRO-E計画の再挑戦計画である。2005年1-2月の打上をめざし、現在 衛星の製作が進められている。

ASTRO-EII衛星には、X線天文衛星「あすか」の性能をさらに向上させたX線反射 望遠鏡(XRT)が5台搭載され、それらのうち4台の焦点面に はX線CCDカメラ (XIS)が、1台の焦点面には高精度X線分光装置(XRS)がおかれる。これらの観測 装置は、およそ0.5から10 keVのエネルギー領域のX線を観測する。また、これらと 同時に各X線源からの硬X線(およそ10 keVから700 keVのエネルギー領域)をこれまでにない感度で観測する硬X線検出器(HXD)が搭載される。

これらの観測装置によりASTRO-EII衛星は広い波 長帯にわたってすぐれた分光性能を持つ大型高性能X線天文台となる。中でも、XRSは、画期的にすぐれたX線分光能力を持ち、宇宙の各種天体に存在する 高温プラズマ中の、鉄等の重元素が放射する 輝線の微細構造が、はじめて観測されることとなる。波長が正確に求まることで、ド ップラー効果から、銀河団の高温ガスの運動や、ブラックホール周りの物質の運動が求まり、銀河団の形成・進化や、ブラック ホール近傍の構造に、これまでにない切 り口で迫ることができるであろう。

これと平行して、XISとHXDを用い、広い波長域にわたった精度の高い連続スペクト ルを得ることができ、宇宙での粒子加速の現場を捉えたり、遠方の銀河の中心に隠 れたブラックホールを見出したりすることも期待される。

これらの観測装置の開発は、日米の多くの大学・研究機関の研究者によって行われている。また、その科学的成果を最大限に引き出すための日米欧の研究者 による科 学作業グループの活動も進められている。無事軌道に投入された暁には、世界の研究 者に開かれた国際軌道X線天文台として一般公募観測を順次行っていく予定であ る。

2003年10月1日

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