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赤外線天文衛星ASTRO-Fの打上げ延期

ASTRO-F衛星は、天体からの赤外線を観測して、宇宙初期の銀河の誕生や進化、暗黒星雲中での星や惑星系の誕生の秘密を解き明かすのを目的とした衛星です。赤外線天体観測衛星としては日本で初めてのもので、2004年2月の打上げを目標にこれまで開発が進められてきました。しかし望遠鏡主鏡を支持する部分が、打上げ時の振動や衝撃で壊れる可能性が明らかになり、これを改修するために、残念ながら打上げが延期されることになりました。

ASTRO-Fは有効口径67cmの反射望遠鏡を搭載しています。この望遠鏡は、液体ヘリウムを使って-270℃近くまで冷却して使用される特殊なものです。鏡は炭化ケイ素で作られており、これがチタンやアルミなどの金属でできた構造に取り付けられています。試作品を用いた極低温下の試験では特に何事も起きず、問題点を見逃していました。しかし実機の試験で、鏡の取り付け部分が外れる不具合が起き、その強度が不足していることが明らかになりました。この問題を解決するために対策委員会が作られ、故障原因の詳しい調査や、改良方法の検討が始まっています。

ASTRO-Fの打上げがいつになるかは、まだ決まっていませんが、故障の原因究明と改修を行なって打ち上げられる状態に復帰するには、1年程度、あるいはそれ以上かかる見込みです。今後は、問題点を確実に直した上で、できるだけ早く打ち上げられるよう、最大限の努力を払おうと考えています。

2003年7月25日

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