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ISASニュース

水星探査計画BepiColombo MMO機体公開

No.409(2015年4月)掲載

 2機の周回機を同時に水星周回軌道に投入し協調した観測を行うことで、水星について調べられることは調べ尽くそうというBepiColomboミッションにおいて、日本側が製作している水星磁気圏探査衛星(MMO)は、日本での一連の試験を無事終了しました。これを受けて、3月15日に相模原キャンパスにおいてMMOの機体公開を行いました(表紙)。日曜日にもかかわらず報道各社など総計52名と多くの方に参加をいただき、にぎやかな公開となりました。

 初めに大会議場においてプロジェクト側からミッション概要などについて簡単に説明し、質疑応答を行った後、5班に分けてクリーンルームでの機体公開を行いました。クリーンルームでの公開と並行して、大会議場でプロジェクトサイエンティストによる水星探査に関わるサイエンスレクチャーも行いました。機体公開終了後も時間いっぱいまで、大会議場にて活発な質疑応答が続きました。午後の公開にもかかわらず当日夕方のニュースでも取り上げられるなど高い関心を示していただき、成功裏に機体公開を終了できたと思っています。MMOの機体公開のためにご協力いただいたすべての人に、この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 今後MMOは、4月半ばにESA/ESTEC(欧州宇宙機関・欧州宇宙技術研究センター)へと輸送し、輸送後の確認作業を行った後にESAへの引き渡しを行います。ESA側が製作しているモジュール(電気推進モジュール[MTM]、水星表面探査機[MPO]、MMOサンシールド[MOSIF])と組み合わせ、音響試験・振動試験などの機械環境試験および電気試験を行い、その後フランス領ギアナのクールーにある射場に輸送され、アリアン5型ロケットによる打上げを待つことになります。

 BepiColomboの打上げ機会は2016年7月、2017年1月、3月、7月の4回あり、それぞれ約30日間の打上げウィンドウがあります。どの打上げ機会で打ち上げた場合でも、2018年7月に地球とのフライバイを行い、金星への遷移軌道に入ります。それ以降の軌道もいずれの場合でも同じで、金星のフライバイを2回、水星のフライバイを5回繰り返し、2024年の初頭に水星周回軌道に投入されます。そして、MMOの観測軌道に入ったところで同機を分離、MMOの単独運用を開始します。MPOはさらに軌道変更を行い、MPOの観測軌道に入ったところで科学観測を開始します。両探査機は、その後1年間にわたり水星から貴重なデータを送ってくる予定です。

(早川 基)