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ISASニュース

BepiColombo MMO熱真空試験終了

No.406(2015年1月)掲載

 ESA(欧州宇宙機関)との共同で水星探査を行うBepiColombo計画において、JAXA側が製作する水星磁気圏探査機(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)の日本での最後の試験であるフライトモデル総合試験を、相模原キャンパスの環境試験棟クリーンルームで行っています。

 総合試験における二大環境試験の一つである「熱真空試験」が2014年10月31日より11月26日までの間、環境試験棟にある4mチェンバーを使って行われました(もう一つの大物は「振動・衝撃試験」で、こちらはすでに終わっています)。 この熱真空試験は、真空環境のもと探査機を軌道上で予想される高温・低温にさらすことで熱モデルの検証を行う、高温・低温環境のもと電気試験を行うことで各機器の動作を確認する、という二つの目的があり、昼夜連続で試験を行います。現在、試験中に取られたデータを基に熱モデルの精度向上を行っているところです。また、高温・低温時の各機器の動作も確認され、これでMMOとしては大きな山を越えたことになります。

 今後、質量特性試験、アライメント試験、水星での運用を模擬した電気試験などを経て、2015年3月上旬にMMO単体としての国内での試験を終了することとなります。その後、4月の初めにオランダにあるESAの欧州宇宙研究技術センター(ESTEC)へと輸送し、ESA側が製作・試験をしているモジュールである水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)、巡行軌道中の電気推進モジュール(MTM:Mercury Transfer Module)、MMO用のサンシールドと組み合わせた母船総合試験を実施します。全体確認を行った後、射場であるフランス領ギアナのクールーへ輸送。射場試験を経てAriane 5によって打ち上げられることとなっています。

(早川 基)

熱真空試験直後のBepiColombo MMOの全体像。試験中に探査機を覆っていたヒーターパネルから取り出しているところ。

熱真空試験直後のBepiColombo MMOの全体像。試験中に探査機を覆っていたヒーターパネルから取り出しているところ。