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ISASニュース

BepiColombo MMO の総合試験

No.381(2012年12月)掲載

水星探査を行うBepiColombo MMOの開発もいよいよ最終段階に入ってきています。9月半ばのRCS(姿勢制御のための推進系)の衛星構体への取り付け、取り付け後の確認のための加圧試験を皮切りに、フライトモデルの総合試験が相模原キャンパスの飛翔体環境試験棟(C棟)にある旧クリーンルーム内で始まりました。10月には、C棟にある4mチャンバーを使用して、構体などから出るガスが今後の試験・運用時に搭載機器へ悪影響を及ぼさないようにするためのベーキングを行い、現在は衛星内部の電気計装・熱計装を衛星構体に取り付け固定する作業を行っています。

MMOではさまざまな制約から、40cmもない上下部デッキの間に箱の数にすると数十個に及ぶ機器が取り付けられるため、衛星の内部は非常に混み合っており、従来の科学衛星と比較すると機器の取り付け・取り外しがとても大変な衛星となっています。写真はRCSの組み付け後の導通・絶縁チェックをしているときのもので、衛星の下部デッキ、上下部デッキをつなぐ4枚のバルクヘッド(RCSのバルブなどが取り付いている)、衛星の中心にあるスラストチューブ(真ん中に見えるのが姿勢制御用の高圧窒素タンク)が組まれています。下部デッキ上の青いシートが留めてあるところは、おおよそ機器が取り付くところに対応しています。上部デッキにも同程度の機器が取り付けられ、その機器の間を計装線が通るので、どのくらい混み合っているかがこの写真から想像できるかと思います。

現在はまだ少人数で作業を行っていますが、12月に入ると各機器の取り付け、電気試験が始まり、大勢の関係者でにぎわうことになります。これから一連の電気試験、環境試験を行い、来年末までMMO単体での総合試験が続きます。日本での試験が終わった後に衛星はESA/ESTECへと輸送され、BepiColombo全体での総合試験を1年弱かけて行った後に射場である仏領ギアナへと運ばれ、2015年8月に打ち上げられる予定となっています。

(早川 基)

RCS組み付け後の導通・絶縁チェック作業風景