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ISASニュース

ISTS沖縄 開催報告

No.364(2011年7月)掲載

創設から52年目となる第28回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)が、6月5日から12日まで、沖縄県宜野湾市のコンベンションセンターで、 “Exploring Humans、 Earth and Space〜the quest begins in the island of peace Okinawa〜”をメインテーマとして開催された。

3月の東日本大震災の直後は、果たして予定通り開催しても大丈夫かどうか懸念があったが、会場の沖縄は震災の影響をまったく受けていないこと、また日本全体が意気消沈しているわけではないことを世界に発信するという意味も込めて、荒川義博組織委員長名で「予定通りISTSを開催する」というメールを広く送付した。共催である沖縄県の方々の意気込みも、この決定に大きな支えとなった。実際の発表講演は675件(国内594件、海外81件)、参加登録者は881名と、いずれも過去最高であり、開催地である沖縄の魅力とともに、本会議の学術的な重要度と評価の高まりによるものと考えられる。ただし震災の影響は、海外からの発表キャンセルが41件と多いことに現れた。

学術セッションの構成は、化学推進から宇宙法まで18であった。最近重要性を増した宇宙生命科学、宇宙エネルギーシステムを新たに独立セッションとした一方で、気球については観測時期と重なるためにセッションを組めなかった。パネルディスカッションは、(1)Human Exploration in Space(宇宙医学、有人プログラムなど)、(2)Earth(地球観測)と沖縄の海洋環境、さらには震災と復興に対する宇宙技術の貢献、(3)ロケット事故から打上げ再開に至るまで、(4)宇宙デブリと軌道の安全性、という企画で国際的な視野で意見交換が行われた。また昨年無事地球に帰還した「はやぶさ」に関する特別講演・セッション、帰還したカプセルの展示などが行われ、好評であった。

学術セッションと並行して、国際宇宙展示会とこどもサイエンスフェスタが同じ会場で開かれ、期間中の総来場者数約1万6000名と大盛況であった。

次回は2年後、名古屋市において「愛知・名古屋ISTS」として開催されることが決定されている。

(第28回ISTSプログラム委員会委員長・本間正修)