宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

金星探査機「あかつき」の報道公開

No.346(2010年1月)掲載

金星は日没後の宵の空に、あるいは夜明け前の暁の空に、全天で一番明るく輝く星として知られています。その金星に向けて、間もなく金星探査機「あかつき」が打ち上げられます。  現在「あかつき」は、本物の探査機(フライトモデルといいます)を用いての地上試験を相模原キャンパスで継続中です。ロケット打上げ時に発生する過酷な振動や衝撃に対する健全性を確認するための機械環境試験(約1ヶ月間行いました)を無事終了し、続いて、宇宙空間航行中の厳しい熱環境に対する健全性を確認するための熱真空試験(これも約1ヶ月かかります)の準備作業に入りました。

機械環境試験では大型の振動衝撃試験装置の上に探査機を載せるため外部からの見学が容易ですが、熱真空試験では宇宙空間を模擬的につくり出すために大型の熱真空チャンバに探査機全体を入れるので、外部から探査機の様子を見ることが難しくなります。そのため、熱真空試験が始まる前、探査機の全貌がよく見える時期を選んで、「あかつき」を報道関係者に公開することになりました。報道公開当日の2009年11月27日は、13社18名の報道関係者が相模原キャンパスを訪れ、2グループに分かれて衛星環境試験棟のクリーンルームに入り、探査機本体とその周辺で作業するプロジェクト関係者を撮影しました。ちょうどこの時期は、「お届けします! あなたのメッセージ、暁の金星へ」と題し、一般の人の名前や金星人への手紙や質問といった短い文章をアルミプレートに刻み探査機と一緒に金星へ届けるというメッセージキャンペーンを実施中でした。このキャンペーンの紹介と併せて、「あかつき」の様子が新聞やニュースで取り上げられました。

打上げ前の地上試験はほぼ最終段階となり、いよいよ新年度には種子島でH-UAロケットに搭載されます。きっと、たくさんの人の夢と期待を、見事金星に届けてくれることでしょう。

(石井信明)

報道関係者に公開された「あかつき」