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ISASコラム

宇宙・夢・人

息子を宇宙でわくわくさせたい

(ISASニュース 2008年11月 No.332掲載)
 
宇宙科学情報解析研究系 助教 三浦 昭
みうら・あきら。
1966年,島根県生まれ。工学博士。1995年,東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了。同年、宇宙科学研究所宇宙科学企画情報解析センター助手。2008年より現職。宇宙研内の計算機・ネットワークの維持運用やサイエンスデータベース「DARTS」関連の開発を行っている。
Q: 電子工学がご専門ですが、宇宙にも興味があったのですか。
子どものころ、バイキングやボイジャーによる惑星探査が新聞やテレビで取り上げられ、とてもわくわくして見ていました。新聞に載ったボイジャーがとらえた土星の画像を見て、これはすごいと感動し、記事を切り抜いてスクラップブックにはろうとしたら大き過ぎてはれなかった記憶があります。宇宙の話題が今よりもマスコミで大きく扱われていた気がします。
 中学に進むと、当時「マイコン」と呼ばれていたコンピュータのプログラムづくりに熱中するようになり、工学へのめり込んでいきました。  大学の工学部に進み、学科を選ぶとき宇宙工学も考えたのですが、電子工学にしました。大学院の研究室では、航空機の管制官を支援するソフトの研究を行いました。
Q: 宇宙研に入って早々、ホームページの立ち上げを担当したそうですね。
私が宇宙研に入ったのが1995年4月。ホームページという言葉もまだあまり知られていませんでした。入ってすぐに、ホームページの立ち上げを命じられ、私を含めて3人ほどで担当しました。当時は日本語を表示できるパソコン用ホームページ閲覧ソフトもなく苦労しましたが、その年の7月の一般公開にぎりぎり間に合わせて展示しました。その後、インターネット上に公開しました。
Q: 反響はいかがでしたか。
当初は、ホームページへのヒット数が1日1000件を超えただけで、大喜びしました。一気に知名度が上がったのが、衛星や探査機の打上げ中継を行うようになってからです。中継のときは、毎秒数千ものヒット数があります。2005年、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワに着陸して試料採取を行う様子を中継したときは、すごかったですね。ヒット数が急激に増える様子を見ていると、中継サービスを提供している私たちもわくわくしてきます。
Q: 現在はどのような仕事をしているのですか。
宇宙研内の計算機・ネットワークの維持運用とともに、主に日本の科学衛星が取得したデータを蓄積したサイエンスデータベース・サイト「DARTS」(http://darts.isas.jaxa.jp/)関連の開発などを行っています。研究者向けの情報がほとんどですが、一般向けの解説ページも設けています。
 例えば、科学衛星がとらえたデータを音階に置き換えた音を紹介しています。私のお薦めは地磁気のデータを音にした「地球のまわりの音」と名付けた2004年のものです。「今月のDARTS」2007年8月のムービーにも使っています。まるで音楽のように聞こえますので、ぜひアクセスして聴いてみてください。
 これは日本福祉大学の宇野研究室との共同プロジェクトです。目の不自由な方にも宇宙を楽しんでいただくことを目指しています。目の不自由な方は聴力に秀でていることが多いので、何らかの発見がもたらされるかもしれません。
 「DARTS」の「JUDO」というページは、天球上に天体画像を並べて表示したものです。カーソルで天球上の好きな場所を選び、そこにある天体の画像を見ることができます。現在は、X線天文衛星「すざく」がとらえた画像だけですが、今後、さまざまな衛星による画像を追加していく予定です。
Q: 今後の目標は。
宇宙のデータをどのように見せて、アピールするかに興味があります。今年の一般公開でも、科学衛星が取得した画像を編集した映像ソフトをつくって展示したのですが、宇宙研のスタッフも感動してくれました。
 私が子どものころ惑星の画像にわくわくした気持ちを、今の子どもたちにも感じてもらえたらうれしいですね。先日、3歳になる息子に、たくさんの美しい天体画像が収録されたDVDを買ってきて見せたのですが、「うちゅう、こわい」と言われてしまいました(笑)。いつの日か、息子をわくわくさせられる宇宙のソフトを自分の手で開発したいと思います。