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ISASコラム

(第1回:ISASニュース 2013年3月 No.384掲載)

発射装置改修工事――機体転倒防止装置

イプシロンロケットの発射装置改修は順調に進行しています。今月号では、機体転倒防止装置についてご紹介します。

イプシロンロケットは、歴代Mシリーズの「斜め発射方式」から一転、「垂直発射方式」を採用しています。斜め発射では、ランチャブームのレールに機体側面のスリッパが引っ掛けられているため、ロケットが転倒することはありません。

しかし、垂直発射のイプシロンは、ロケットのお尻がランチャのシュラウドリング(リング状のロケット支持台)に乗っかっているだけなので、機体の転倒防止を検討しました。結果として、通常の運用(ランチャの旋回・非常停止時の加速度や風)で機体が転倒することはありませんが、万一の地震を考慮して、シュラウドリングに機体転倒防止装置を整備することにしました。2月に機体転倒防止装置の仮付けが終わりましたので、写真と共にお知らせします。(小野哲也)

万一のときにロケットのお尻(後部フランジ)を支持する機体転倒防止装置(4ヶ所)

フェアリング音響試験

お待たせしました(?)、イプシロン構造系開発試験の紹介です。今月号では、筑波宇宙センターで行われたフェアリング音響試験を紹介します。

フェアリングは、イプシロンロケットの上側ほぼ半分を覆っている先端がコーン形状の構造体で、その中には衛星やロケット2段・3段機器が搭載され、打上げ時や飛翔中に発生する激しい熱や音から衛星や機器を守り、役割を終えると半分に割れて投棄(放てき)されるものです。

 今回の試験は、打上げ時に発生すると想定している音をフェアリング外部に発生させ、フェアリングに艤装されている機器の振動耐性とフェアリングを透過した音の減衰量の確認を目的としています。結果、試験の目的を達成する良好なデータを取得することができました。担当としては、お客さん(衛星)に約束している乗り心地を提供できるめどが立ち、ホッとしています。次は、フェアリングの分離放てき機能を確認する試験が待っています。応援のほど、よろしくお願い致します。(宇井恭一)

音響試験を行ったイプシロンロケットのフェアリング