硬X線望遠鏡(HXT)

硬X線望遠鏡(HXT)
「硬い」X線とは、太陽物理学の世界では、おおむね10キロ電子ボルト以上の
X線(波長では約1オングストローム以下)を指す言葉です。このエネルギー以下
の軟X線は、数100万度の太陽コロナ全般から放射されるのに対して、硬X線
は主として、フレアが起こった時数十キロ電子ボルト以上のエネルギーまで加速
された電子から、もしくはフレア時に生成される数千万度の超高温ガスから放射されます。
この硬・軟X線の境界の波長、約1オングストロームという長さは、金属結晶の
原子の間隔ていどであり、軟X線はいろいろ工夫すれば反射望遠鏡を
作ることができますが、硬X線ではどうしてもレンズや鏡ができません。では、
硬X線では、どうすれば画像が得られるのでしょうか?
ピンホールを用いて写真を撮るのが一番簡単な方法ですが、角分解能を向上
させ鮮明な画像を撮るためには小さなピンホールが必要で、そうすると感度が
足りなくなってしまいます。そこで、「すだれ」コリメータの技術を使います。
これは、小田稔先生の考案したもので、日本のX線天文学の伝統的な技術の
一つです。

「ようこう」は、スリットの向きとピッチの異なる64個の小型の「すだれ」
を用いて、64個の検出器の強度の違いから画質が取得できるようになっていま
す。原理的には数学のフーリエ変換によく似ているので、
「フーリエ合成型望遠鏡」と称していますが、実際には、大型コンピュータで
「最大エントロピー法」などの複雑な解法を使って、画像の再生をしています。
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