暗い天体を観測し、一秒ごとに、X線検出器に
入射するX線の数を、100秒の間、カウントした。その値を書き下してみると、以下の通りである。
0 0 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 4 0 1 1 1 1 0 1 1 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 0 0 4 0 1 0 0 0 0 0 1 1 1 2 0 0 0 2 1 1 1 2 1 0 0 0 1 0 1 1 2 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 1 0 2 0 0 0 1 0 0 2 0 2 0 1 0
全部で100ビンのうち、0カウントのビンが59、1カウントが31ビン、2カウントが8ビン、3カウントが0ビン、4カウントが
2ビンあることがわかるだろう。これを、1ビンに光子が0, 1, 2, 3, 4カウント
入る確率は、それぞれ、0.59, 0.31, 0.08, 0, 0.02
と考えても良い。
そのヒストグラムは、図12の通り。また、平均値は、
である。
図12で赤丸で示したのは、以下の式で、のときに、
に対応する点である。
式(231)は暗記してしまうと良い。
思い出すために手がかりと成るのは、平均のとき、1ビンに全く光子が入らない確率は、
ということである。
当然であるが、平均の値によらず、1ビンに入る光子数
が0,1,2,3,,,である確率をすべて足すと1になることに注意しよう。
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(232) |
また、すでに「式(231)の分布の平均は」、と言ってしまっている訳だが、平均
(mean)の定義から
その値が
になることを確認しておこう。
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(233) |
さて、一般の確率分布関数で、平均の回りにその分布がどれだけばらついているか、を
分散(Variance) で表す。分散が大きいほど、ばらつきが大きい。
各ビンに入る光子数
と
平均の光子数
について、
をすべての
について平均したものが分散になる。
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(234) |
導出はちょっとやっかいだったが、ここで得られたとても大切な事実、「ポアソン分布の分散は平均に 等しい」ということは暗記しておこう。