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四元数は19世紀にハミルトンによって発見されたそうだ。数学的な側面はともかく、ここでは四元数の
応用面について述べる。すぐ後に述べるように、ノルム(norm)が1である単位四元数 (unit quarternion)は、3次元直交座標系の間の
直交変換を記述する。
四元数は複素数の拡張として、以下のように定義される。
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(71) |
ここで、
は実数である。
の左から
を掛けて
を使うと、
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(72) |
が得られる。
同様に、右から
を掛けて
を使うと、
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(73) |
が得られる。式(72)の左から式(73)を掛けて
を使うと、
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(74) |
が得られる。
同様に、(72)の右から
を掛けて、
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(75) |
が得られる。左から
を掛けると、
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(76) |
が得られる。最後に、
(73)の右から
を掛けて、
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(77) |
が得られる。以上をまとめて、使いやすい形として、
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(78) |
を得る。
また四元数を以下のようにも表す。
![\begin{displaymath}
q = [{\bf v}, w]
= [(x,y,z), w]
= [x,y,z, w].
\end{displaymath}](img232.png) |
(79) |
は、3次元空間のベクトルを表す。
とするとき、四元数同士の和は四元数であり、それは次のように定義される。
![\begin{displaymath}
q + q' = [{\bf v}, w] + [{\bf v'}, w']
\equiv [{\bf v}+{\bf v'}, w + w'].
\end{displaymath}](img235.png) |
(80) |
積については、以下のように考えられる。
ここで、式の変形には、(78)を用いた。
四元数の積が可換でないことに注意(異なる軸の周りの回転が可換でないことに対応している)。また、
としたとき、
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(86) |
が成立する
。
定数や3次元ベクトルも、四元数表示することができる。
を実数の定数としたとき、その四元数表示は、
。
を3次元ベクトルとしたとき、その四元数表示は、
。定数や3次元ベクトルを四元数表示したとき、それらを
含む四元数の積に関して、以下は自明である。
![\begin{displaymath}
s q = [{\bf0}, s][{\bf v}, w] = [s {\bf v}, sw] = qs,
\end{displaymath}](img252.png) |
(87) |
![\begin{displaymath}
{\bf v} {\bf v'} = [{\bf v}, 0][{\bf v'}, 0] = [{\bf v}\times{\bf v'}, -{\bf v}\cdot{\bf v'}].
\end{displaymath}](img253.png) |
(88) |
を四元数の定数、
を任意の四元数としたとき、以下のように線型性が成立する。
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(89) |
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(90) |
四元数の共役(conjugate)の定義と、その性質は以下の通りである。
![\begin{displaymath}
q^\ast = [{\bf v},w]^\ast \equiv [-{\bf v},w].
\end{displaymath}](img258.png) |
(91) |
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(92) |
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(94) |
ノルムの定義と性質は以下の通りである。
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(95) |
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(96) |
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(97) |
特に、ノルムが1である四元数を単位四元数(unit quaternion)と呼ぶ。
の逆四元数を
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(98) |
で定義する。
が単位四元数であるとき、
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(99) |
である。
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Ken EBISAWA
2011-05-30