天文学では、天体の「見かけ」の位置を表すのに、仮想的な天球という概念を 用いる。宇宙が球であり、その中心に私たちがいる(地球がある)、というイメージである。 地球の自転軸を延ばしていって、天球とぶつかったところが、点の北極。地球の赤道を 拡げていって、天球とぶつかったところが天の赤道。
地球の自転軸は、地球の公転面と垂直ではなく、
傾いている
。
太陽が一年を通じて天球上で
通る道を黄道と呼ぶが、黄道は天の赤道と
傾いている。
太陽が天の赤道を南から北に横切る点が春分点、北から南に横切る点が秋分点。
太陽が赤道面からいちばん北向きに離れる点が夏至点、南向きに離れる点が冬至点。文字通り、
地球の公転運動によって、春分、秋分、夏至、冬至のときに太陽はこれらの点を通過する。
地球上の経度(
)、緯度(
)を定義し、それで地球上の位置を表すように、
天球上で、
赤経(
)、
赤緯(
)
を定義し、それによって天体の位置を表す。グリニッジ天文台(経度=
)が地球上の経度の基準点であるように、
赤経の基準点は春分点である。このように、天の赤道面を基準にした
座標系が赤道座標である
。
同様に天の黄道面を基準にした座標系が黄道座標である。
地球上と同様、天球上でも方角を東西南北で表わす。天の北極の方向が北、南極の方向が南、 赤経が増える方向が東、減る方向が西。地球上(地球を外から 見ている)と天球上(天球を内から見ている)で東西の向きが逆になっている ことに注意。つまり地図を拡げたとき、北が上向きなら東は右 (右向きに経度が増加する)。一方、 「天球図」においては、 北が上向きなら、東は左 (左向きに経度が増加する)。
もう一つ良く使われるのが、我々の銀河系(天の川)を基準に取った、銀河座標である。 銀河中心の方向が銀経=0度で(左向きに銀経が増加)、銀河面が銀緯=0度に対応している。
任意の天体の位置を、赤道座標、黄道座標、銀河座標で
表すことができる。
図2は、これら3つの座標の間の変換を示したものである。
(赤経、赤緯)=(
![]() ![]() ![]() |
(銀経、銀緯)=(![]() ![]() ![]() |
(黄経、黄緯)=(
![]() ![]() ![]() |
どうやってこのような座標変換を計算するのだろうか?以下では、それを考えてみよう。