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地球の周りの人工衛星の軌道や、太陽のまわりの惑星の軌道を考えてみよう。以下で、
は人工衛星または惑星の換算質量、
は、
地球中心に相対的な人工衛星の位置、あるいは太陽に相対的な惑星の位置を示す。
まず、エネルギー保存則から、全エネルギーを
とすると、
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(158) |
(153),(154)を使うと、
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(159) |
ここで(154)から、
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(160) |
よって、独立変数を時刻
から
に変換して(159)は、
 |
(161) |
と書ける。
この微分方程式が
と
の関係を与えるので、
を
の関数として求めれば、惑星の軌道が求められたことになる。
ここで、
と変数を変換すると、以下のように変形できる。
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(162) |
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(163) |
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(164) |
ここで積分公式、
を用いて、
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(165) |
よって、
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(166) |
ここで、
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(167) |
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(168) |
と定義すれば、
(166)は、
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(169) |
と書ける。これは原点(太陽または地球)を焦点の一つとする円錐曲線の式で、
は離心率、
は半直弦と呼ばれる。
円錐曲線は、円錐を任意の断面で切ったときの断面の形で、楕円(
)、放物線(
)、双曲線 (
)、のいずれかである。
下図に、異なる離心率の円錐曲線の例を示す。
実際に太陽の周りの惑星(彗星)や地球の周りの人工衛星(探査機)の軌道も、楕円、放物線、双曲線のどれかである。
(168)より、離心率
はそれぞれエネルギー
に対応している。すなわち、
全エネルギー
が負のときは、人工衛星は地球の重力に束縛されて、地球の周りを楕円軌道を描いて周回する。
運動エネルギーが増加するにつれ、離心率が大きなり、やがて軌道は放物線となり、人工衛星は地球の重力圏を
脱出する。無限遠でエネルギーはゼロになる。さらに運動エネルギーが大きい場合は、双極線軌道になり、無限遠でも
正のエネルギーを持つ。
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Ken EBISAWA
2008-01-30