本日は,モニタカメラ画像の転送,スピンアップを行いました.
ここ数日間は0.2rpmのスピンレートを維持して,カメラ画像等,IKAROSが蓄えたデータ
を取得する予定です.

今回はスピンレートと姿勢・軌道の関係についてお話ししましょう.

IKAROSはスピン型宇宙機であり,大きな外乱がなければスピン安定によりスピン運動を
維持します.一方でIKAROSの膜面に太陽光が当たると,太陽光圧トルクを受けIKAROSは
ひまわりのように太陽の方向を向こうとします.

IKAROSの姿勢は主にこれら2つの効果のバランスによって決まります.
スピンレートが小さくなるとスピン安定が弱くなり,相対的に太陽光圧トルクが
強くなります.このため,IKAROSは太陽を指向しやすくなり,太陽角が減少します.
太陽角が変化すればIKAROSの軌道も変化します.というわけで,
スピンレートを積極的に調整することでIKAROSの姿勢・軌道を制御できます.

さて,スピンレートをどんどん小さくし,ゼロに近づけると
太陽光圧によって膜面がたわみやすくなります.
膜面のたわみの効果が入るとスピンレートと姿勢・軌道の関係がさらに複雑になります.
これを確認するのが,スピンダウン運用の一つの目的であり,
カメラ画像でたわみを確認しながら,
軌道・姿勢データを取得し,どう影響しているかを調べています.


ところで,最新のISASニュースに「はやぶさ」にまつわる裏話が掲載されていますね.
すっかりエントリーするのを忘れてしまったのでこのブログにちょっとだけ・・

私事ですが,2005年のタッチダウンの数週間前という,
今思うとありえない時期に結婚式・披露宴を行いました.
そんなときでも参加していただいた関係者の皆様にはひたすら感謝です.
式にはなんと「はやぶさ君」からの祝電が届きました.
(当日の運用担当の矢野さんがDR再生したところメッセージが含まれていたので,
代理で電報を送ってくださったとのことです)
「はやぶさ君」はその中で「イトカワからお土産を持ち帰りますね!」
と力強く宣言していました.昨年,
「はやぶさのカプセルからイトカワから持ち帰った微粒子が発見された」
とのニュースが流れたとき,祝電の記憶がよみがえり,まさに有言実行だね!
と思いました.
改めて「はやぶさ君」へ
「素敵な祝電,ありがとう!!」(O)


7/7のIKAROS
太陽距離: 1.01AU
地球距離: 107619912km, 赤経=35.1°, 赤緯=8.3°
金星距離: 1.44AU(215640606km)
姿勢:スピンレート=0.2rpm, 太陽角=5deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 1.01AU
Earth Distance: 107619912km, RA=35.1deg, Dec=8.3deg
Venus Distance: 1.44AU(215640606km)
Attitude: Spin Rate=0.2rpm, Sun Angle=5deg


P.S.
7月7日は七夕ですね.
うちの子鉄君の願いは「リニアモーターカーがつくれますように!」とのことです.
私としては,6月22日のカニの日をすっかり忘れていたことが残念でなりません.