本日の運用では,再生レンジングとデータレコーダの再生後,
自律制御関連のコマンドをアップロードしました.
特に金星到着前後は,あかつきの運用が優先されるため,
IKAROSは,自律機能を駆使して,クルージングを行います.

最近,NASAが「NanoSail-D2」というソーラーセイル実験機を打ち上げましたね.
他にも近く,米国惑星協会が「LightSail-1」,英国サリー大学が「CubeSail」
を打ち上げソーラーセイル実験を行います.
いずれも超小型衛星で,質量が5kg程度,膜面積が10~32平方メートルとなります.
超小型衛星でソーラーセイル実験が行われる理由の一つに,
ソーラーセイルはリスクが大きいとみなされていることがあげられます.
実は,ソーラーセイルを用いた本格ミッションの構想は日本以外でもいくつか
提案されてきましたが,いずれも採用されていません.
我々も,ソーラー電力セイルによる木星・トロヤ群小惑星探査計画を
提案していますが,なかなかプロジェクト化されないという状況でした.
そこで,まずは超小型計画でソーラーセイルを実証しよう,ということになります.
ただし,超小型計画では,重量・サイズの制約が厳しすぎて,あまり満足できる
実験ができません.

そんな折,あかつきとの相乗り話が急浮上し,IKAROS計画が誕生しました.
IKAROSはスケジュール等が非常に厳しいという側面がありましたが,
重量・サイズをある程度確保でき,何よりも惑星間飛行で
ソーラーセイルを実証できるという点でとても恵まれていると思います.
(IKAROSの「I」は「Interplanetary」を指しています)

IKAROSが打ち上がる前に,IKAROS計画について学会で発表したことがあります.
「ソーラーセイルのようなリスクのある計画がよく採用されたね.」と
米国の研究者が驚いていたのが印象的でした.
挑戦できるチャンスがある,というのはとても幸運なことだ,と感じずには
いられませんでした.

IKAROSによってソーラーセイルが初めて実証され,第2,第3のソーラーセイル
が誕生しようとしています.
いよいよ,ソーラーセイルを使った本格ミッションの出番だと思います.(O)


11/26のIKAROS
太陽距離: 0.73AU
地球距離: 51503126km, 赤経=-151.5°, 赤緯=-10.2°
金星距離: 0.02AU
姿勢:スピンレート=1.7rpm, 太陽角=17.9deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.73AU
Earth Distance: 51503126km, RA=-151.5deg, Dec=-10.2deg
Venus Distance: 0.02AU
Attitude: Spin Rate=1.7rpm, Sun Angle=17.9deg


P.S. 深夜の運用をやっていると時間感覚がなくなる.もともとか・・