本日の運用では,LGA1からMGAに切り替えてビーコン運用に成功しました.
(イカロス君は見慣れないコマンドにちょっと戸惑っていたみたいですね)

このMGAは,IKAROSのために新たに開発した機器であり,IKAROS搭載品で
これまで出番のなかった唯一の機器でした.
今回の成功でIKAROSはすべての開発品で成果をあげたことになりました.

アンテナ切り替えにあたり,タイムラインコマンド(時刻指定コマンド)
を復活させました.また,次回の運用で推進系を使ってセイルの状態を
確認するミッションを行うために,通常のヒータ制御も再開しました.


さて,先週ついに冬眠明けのIKAROSを見つけることができました.
多数のお祝いメッセージをいただき,改めてたくさんの方々に応援して
いただいていたことを実感しました.本当にありがとうございます.

今回IKAROSが見つかった意義について述べたいと思います.

IKAROSは,太陽の光を受けて姿勢および軌道が変化します.
これはまさにソーラーセイルのメリットであるのですが,
逆に,姿勢・軌道がどのように変化するか予測できなければ
IKAROSを見つけることができないことを意味します.

もちろん,1.5年の運用実績からIKAROSの姿勢・軌道がどのように変化
するかはある程度予測することができます.
しかし,これまでは推進系を噴射して積極的に姿勢・軌道を調整する運用
をあわせて行っていたために長期間の予測は未知の領域となります.
また,臼田のアンテナで探せる範囲は非常に狭く,少しでもずれると
IKAROSを捉えることはできません.

それならば,アンテナを予測値周辺でふって網羅的に探したいのですが,
運用日数(運用費)が増えます.すでにフルサクセスを達成したIKAROSの予算
は非常に少なく,いろいろとやりくりして2週間に1回程度の運用がやっとです.

<はやぶさの探査では,軌道変化を考慮する必要はなく,
 ほぼ毎日運用できましたので,はやぶさと比べてもずっと厳しい条件ですね>

IKAROSが見つかったということは,姿勢・軌道を長期的に精度よく予測できる
ようになったことを意味します.IKAROSの運用を今年度延長するにあたり
提示した以下の研究テーマに対し,すでに大きな成果が得られたと言えます.
「IKAROSが長期間制御を行わなかった場合の運動を理解する」

ところで,改めて探索運用を振り返って,最もつらかったのは,
「何も反応がないこと」でした.

IKAROSが見つからない理由として,まずアンテナの向きが悪いことが
考えられますが,どれだけずれているか知るすべはありません.
まだ冬眠から復旧していない可能性もあります.
そもそも,故障してしまったかもしれません.
1回7時間ずつ,何か月にもわたってIKAROSを呼びかけているにもかかわらず
反応がないと,さすがに精神的にこたえます.

そんなチームを支えてくださったのは,皆さんの応援でした.
(お守り・お札もたくさん贈っていただきました)
本当に本当に感謝しています.

たくさんのお祝いをいただき,IKAROSが見つかった一番の意義は,
皆さんとまた宇宙ヨットの旅ができることだと実感しました.

「君も太陽系をヨットに乗って旅しよう!」(O)


9/13のIKAROS
太陽距離: 0.73AU
地球距離: 1.67AU(249137896km), 赤経=158.1°, 赤緯=10.8°
金星距離: 0.96AU(144329539km)
姿勢:スピンレート= ** rpm, 太陽角= ** deg

Today's IKAROS
Sun Distance: 0.73AU
Earth Distance: 1.67AU(249137896km), RA=158.1deg, Dec=10.8deg
Venus Distance: 0.96AU(144329539km)
Attitude: Spin Rate= ** rpm, Sun Angle= ** deg


P.S.
・次回の運用は9/15(土)の予定です.
・最近,相模原キャンパス内で捕まえたカブトムシが卵を産みました.
・最近,水ロケットを作って息子と一緒に飛ばしました.とても楽しいです.
・イカロス君グッズの紹介です.
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