前号へ 次号へ 宇宙科学企画情報解析センター ISASホームページ バックナンバー


第84号 2000年10月17日発行

目次


先頭へ


 

新シリウス(SIRIUS)の現状(1)

1.はじめに

 新 SIRIUS システムについては、1996年のPLAIN センタニュース30,32,34号でその構想的なものを、また新 SIRIUS の母体となる旧 SIRIUS システムついては、1994年の2,3,4号に紹介していますが、今回新SIRIUS システムの現状についてお話したいと思います。1回目はその概要についてお話し、 次回からシステムの機能・構造的なものを紹介します。

2.SIRIUS と DARTS

 宇宙科学研究所には SIRIUS と DARTS の2つの科学衛星データベースがあります。DARTS が解析結果を格納した公開用データベースに対しSIRIUS は衛星から送られてくるデータをテレメトリフォーマットに近い形式で一次処理後格納するもので非公開のデータベースです。鹿児島や海外局で受信された科学衛星データは全てSIRIUS に格納され、データの処理・解析に供せられます。その結果は然るべき時期に DARTS によって公開されることとなります。

3.新 SIRIUS 開発の背景

 宇宙科学研究所ではMーVロケットの時代に入り科学衛星のテレメトリ方式に CCSDS (Consultative Committee for Space Data System) 勧告に準拠したパケットテレメトリ方式を採用することになりました。LUNAR-A / PLANET-B では簡易的なパケット方式を採用し ASTRO-E において本格的なパケット方式を採用するに至りました。このため SIRIUS システムもこれに対応すべく開発を進めることとなりました。一方、データ処理用のコンピュータは大型計算機( MSP メインフレームコンピュータ)からワークステーションやパーソナルコンピュータの時代となり、ワークステーションを主体とした新システムの開発を行うことが急務となった訳です。

4.新 SIRIUS 開発の経過

 新 SIRIUS は、ASTRO-E 衛星をターゲットとして開発を進め、LUNAR-A / PLANET-B 用に小規模システムを完成させる計画でスタートしました。新 SIRIUS の開発は、旧 SIRIUS を運用しながらの開発であり、予算面等で苦しい状況に有り開発がかなり遅れましたが PLANET-B 用の小規模システムの完成、そして ASTRO-E 用システムにおいては相模原における衛星総合試験データの格納から開始することができました。残念ながら ASTRO-E は軌道に乗りませんでしたが基本的なシステムはこの時点で完成し、現在その機能強化を図ると共に次期衛星の準備を行っているところです。

5.旧システムの新システムへの移行

 現在、新旧両方の SIRIUS システムが稼働しています。1997年以前に打ち上げられた衛星データは大型計算機( MSP メインフレームコンピュータ)上の旧 SIRIUS によって、それ以後に打ち上げられた衛星データはワークステーションを主体とした新 SIRIUS によって管理されています。 旧 SIRIUS システムは最終的には新システムに統合する予定ですが、
 旧 SIRIUS 上には20数年間に取得した20万件、3テラバイト余のデータがあります。このデータをフォーマット変換して新システムへ移す作業は大変なものです。また、それに関連するソフトウエアの開発も必要です。そのため4〜5年を目処に統合する計画を立てています。

(加藤 輝雄)


先頭へ


 

DARTS コーナー:
ROSAT All-Sky Survey の日本でのミラーリングについて

1.ROSAT All-Sky Survey(RASS)

 ローサットは、1990年6月1日から、 1999年2月12日まで活躍した、 X 線天文衛星です。このうち、1990年7月30日から6ヶ月の間、Position Sensitive Proportional Counter (PSPC)を使って、全天サーベイが行われ、最近、このデータがマックスプランク研究所 (MPE) よりアーカイブになりました。DARTS ではこのたび、この All-Sky Survey データのミラーリングの許可を MPE よりいただき、DARTS のホームページ上(http://www.darts.isas.ac.jp/indexj.html )にミラーサイトを構築しました。

2.RASS ページの使い方

 All-Sky Survey のデータは1378個の領域に分かれており、各領域は 6.4x6.4 度の視野になっています。視野と視野の端は、少なくとも 0.23 度の重なりがあります。緯度方向には33分割、経度方向には最大64分割されており、図1のように、赤経、赤緯方向にそれぞれ segment number、zone number がつけられています。RASS ミラーサイトのトップページの様子を図2に示します。特に日本人の方に利用していただきやすいように、トップページとヘルプのみ、日本語ページを作成しました。以下に使用法を簡単に説明します。

 トップページから、データを得るには2通りの方法があります。1つは、全天サーベイの図を直接クリックする方法で、もう1つは座標を入力する方法です。トップページ(図2)の中の、主な項目の部分に番号をつけたので、その順番で説明をします。

1) 出力を選びます。default は、「 X 線カラーイメージ」になります。それ以外にも、「データの入っている directory に移動」、「バンドに切ったイメージの fits file を得る」、等を選ぶことができます。

2) RASS のデータか、ポイントデータかを選ぶことができます。ただし、ポイントのデータを選んだ場合は、MPE の方にデータを取りにいきます。

3) 座標で指定する場合は、ここに値を入力します。必ず全ての入力欄に書き込んで下さい。

4) 座標を指定せずに、図中をクリックしても、1)、2)で選んだ出力項目を得ることができます。

5) zone number と segment number を指定して、データを得たい場合は、”Zone ごとのフィールドリスト”、または ”フィールド全リスト”を選んで下さい。”Anonymous ftp ”は、ヘルプページの、Anonymous ftp の使い方に飛びます。また、”All-Sky マップ”を選ぶと、ヘルプページにある、全天イメージ(fits、ps、jpg)を得ることができます。

6) この部分のツールを使って、さらにいろいろな条件で、データやカタログを検索することができます。しかし、これらのブラウザは全て MPE で動いています。

7) ローサットで作られたいろいろな カタログにアクセスします。この うち、 ”Bright Source カタログ ”と、”Faint Source カタログ”は、DARTS でミラーリングを行っています。




図1




図2


日本語ページに対する質問等は、
comments@darts.isas.ac.jp.まで。

(渡辺 学)


先頭へ


 

平成12年度宇宙科学企画情報解析センターシンポジウム
「宇宙科学におけるデータベース」 プログラム (予定)


日時: 平成12年10月27日(金)   午前10時〜午後5時

場所: 宇宙科学研究所 本館 2 階大会議場


 今回のシンポジウムでは、「宇宙科学衛星データベース DARTS」の現状及び展望を報告させて頂くとともに、国内外各所で行われている宇宙科学以外の分野も含めたデータベース構築の現状と課題を踏まえ、強力な計算機と高速ネットワークを背景とした広域データベースの今後について、活発な議論を行いたいと考えております。皆様の御参加をお待ち致します。 


10:00-12:15 第一部 [座長:笠羽 康正(宇宙研)]


データベース技術と電子図書館

  江口 浩二 (国立情報学研)
生命科学におけるデータベース

 舘野 義男 (国立遺伝研・日本 DNA データバンク)

国立天文台におけるデータベース構築

 多賀 正敏 (国立天文台)
世界資料センターデータベースの現状と課題

 家森 俊彦 (京大地磁気センター)
太陽地球環境研におけるデータベース構築

 阿部 文雄 (名大 STE 研)


13:15-15:10 第二部 [座長:三浦 昭(宇宙研)]


宇宙科学衛星データベース DARTS:現状と展望


 紹介、システム

  三浦 昭 (宇宙研)
 ネットワーク環境:現状と展望

  松方 純 (情報研)
 データベース 
データ検索システム 山下 朗子 (宇宙研)
X線(GINGA/ASCA/ASTRO-E2)  山下 朗子 (宇宙研)
赤外(IRTS/ASTRO-F)  高橋 英則 (名大)
電波(HALCA/VSOP) 村田 泰宏 (宇宙研)
太陽(SOLAR-A/B)  松崎 恵一 (宇宙研)
太陽-地球系(AKEBONO/GEOTAIL)  笠羽 康正 (宇宙研)
外国データベースの諸状況  渡辺 学  (宇宙研)
 データベースの結合:多波長可視化プロジェクト


  渡辺 大  (宇宙研)
 総括、及び今後の方向性
  長瀬 文昭 (宇宙研)



15:15-17:00 第三部 [座長:松崎 恵一(宇宙研)]


極域科学総合データライブラリシステム(&数値シミュレーション環境データベース)

 岡田 雅樹 (極地研)
太陽-地球物理統合解析ツール:STARS
 村田 健史 (愛媛大)
宇宙環境計測情報システムについて
  劉 洪 (宇宙開発事業団)
人工衛星の不具合に関するデータベース
  横山 信博 (宇宙開発事業団)
衛星運用工学データベース EDISON
 橋本 正之 (宇宙研)
SELENE:ISAS-NASDA 共同データベース(仮)
  加藤 學 (宇宙研)


(笠羽 康正)


先頭へ


 

大型計算機に関するお知らせ

1.大型計算機の10月・11月の保守作業の予定



M:システムメンテナンス

※1 停電終了後にソフトウェアメンテナンスを行います。停電時間が遅れた場合は、メンテナンス終了時刻も遅くなる可能性もあります。


(三浦 昭 )


先頭へ


編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
〒229-8510 神奈川県相模原市由野台 3 -1-1 (Tel 0427-59-8352)