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第83号 2000年9月12日発行

目次


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パソコンによる動画作製・デジタルビデオ編集(V)
デジタルビデオ編集(DTV)

1.はじめに

 これまでの4回の連載で動画の圧縮方法の基礎的な事項や、パソコンを使ってのプレゼンテーション、ビデオの作成・編集方法を紹介してきました。今回はこの連載の最後で、ビデオ編集に必要なパソコンや機材について紹介します。

2.パソコンとビデオ機器のアナログ接続

 テレビやビデオを接続するのに一般的に使われるのは、黄色の同軸ケーブルを使うコンポジット信号と、S端子・Sケーブルと呼ばれる色信号を分離したコンポーネント信号です。Sケーブルを使う方が色再現性が良く、特に赤い線などでは差が大きく出るので、なるべくならS端子を備えた機器を使ってください。

 パソコン側に用意するものとして、最も手軽で重宝するのは MPEG1 に変換する USB 接続機器です。IO Data の USB-CAP2はS 端子を備え、定価も \14,800です。プレゼンテーションにパソコンを利用し、更にビデオも使う場合、できあがっているビデオをパソコンに取り込んでおくと、パソコンで全てのプレゼンテーションが出来てスマートです。是非試してください。(音声もあるなら、USB-MPG がお薦め)

3. パソコンとビデオ機器のデジタル接続

 一般に使えるデジタル接続は IEEE1394 で定義された規格で、iLINK、あるいは FireWire とも呼ばれています。このケーブルを流れるのはデジタル映像データと機器制御用の信号です。このケーブルでビデオ機器とパソコンを接続すると、パソコン側からビデオ機器の操作が出来るので大変便利です。

 DVは家庭用デジタルビデオカメラで使われているデジタルビデオの形式で、1/5圧縮の JPEG を使い720x480という解像度を持っています。MPEGと違って前後の時間の駒を使った圧縮を行っていないので、一駒一駒独立で、編集は自在にできます。逆にMPEGは編集に向きません。

 手持ちのPCに IEEE1394 のボードまたは PCMCIA カードを購入して使おうとする場合、注意すべきことが5つあります。

ディスクの転送速度が十分か(駒落ちがないためには平均 7MB/s 以上の転送速度が必要)
対応OS(安いボードは Windows98 second editionのみの場合がある)
他の IEEE1394 機器を接続するか(ビデオにしか対応していないものもある)
ビデオ編集ソフト込みか、同梱ソフトは何か
手持ちの(あるいは購入予定の)DVビデオカメラが対応しているか

 ディスク転送速度はカノープスのホームページから無料でダウンロードできる Raptor Test でチェックするといいでしょう(http://www.canopus.co.jp )。ビデオ編集ソフトはボードやカードに同梱されたものも、それなりに使えます。しかし、お薦めはやはりAdobe の Premiere LE(機能制限版)がセットされたもので、そのままでも十分に使える上、本格的に凝るならアップグレードも安価で出来ます。

 機材を全て新しく揃える場合、例えばアップルのiMAC DVとかエプソンダイレクトのクレセンス、ソニーの Vaio、最近は Sotec まで、パソコン本体とIEEE1394 インターフェース、それにデジタルビデオ編集ソフトも込みにして売っています。他に必要なものは iLINK 経由で録画もできる DV ビデオカメラかDVビデオデッキのみです。 DV ビデオカメラの選択で重要なのは IEEE1394 ボード(カード)が対応しているかどうかです。ボードメーカが対応機種を公表しています。ソニーや松下の製品はほぼ問題ないですが、それ以外の場合、必ず確認ください。ビデオデッキを専用に購入するなら DV と VHS(S-VHS)のダブルデッキがダビングの簡単さで重宝します。

4.まとめ

 パソコンや周辺機器の性能向上と価格の低下や家庭用デジタルビデオ機器の普及で、動画作成やデジタルビデオ編集がそれほどの出費をかけず、簡単にできるようになりました。また、パソコンからのプレゼンテーションが一般的になったことから、ビデオもパソコンに取り込んで全てパソコンから行う方がスマートです。是非、お試しください。

(理化学研究所・情報環境室 姫野 龍太郎 himeno@postman.riken.go.jp)


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AKEBONO衛星データ公開開始のお知らせ

( アドレス: http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/

 科学衛星データベース DARTS (http://www.darts.isas.ac.jp) では、太陽地球系物理のサービスとして、

GEOTAIL 衛星のデータ提供http://www.darts.isas.ac.jp/spdb/
国際太陽地球物理データベース CDAWebhttp://www.darts.isas.ac.jp/CDAWeb/

の二つを提供しております。これに加えて、9月 1日(金)より AKEBONO 衛星のデータ公開を開始することになりました。 当面公開される情報は、

 ・AKEBONO 衛星の基礎情報(関係者連絡先、Reference、衛星情報など)

 ・軌道情報(各観測装置の ON/OFF 情報を含む)

 ・各観測装置のデータ: 3種類

低エネルギー粒子計測器 ( LEP ) 、オーロラ撮像装置(ATV)、放射線モニター(RDM)です。 上記に含まれない観測装置も、準備が出来たものから漸次追加する予定です。1989 年の打ち上げ以来、one solar cycle を無事生き抜いてきた本衛星のデータが、今後も更に広く使われることを期待しています。

以下に、その概要を御紹介いたします。

1. DARTS/AKEBONO のポリシー

 DARTS は、「貴重なデータの死蔵を防ぎ、有効利用を図るため、衛星関係者に限らず世界中全ての研究者に利用可能とする」方針で動いています。DARTS/AKEBONO もこの一環として公開します。

 AKEBONO を含む地球・惑星関係の衛星は、一般に国内外の数多くの PI によって複数の観測装置が搭載されています。このため、データ公開のポリシーが観測装置によって異なっていたのですが、公表時の事前連絡・Acknowledgement・別刷送付などの要請を除き、情報を自由に使用可能とすることができました。

 DARTS/AKEBONO では、全体として利用者に以下のお願いを致します。ただし、観測装置によっては細部が異なることもありますので、利用の際には各観測装置のページに表記される注意事項を御確認下さい。

a. ダウンロード時

 全てのデータは、研究及び口頭発表において自由に使用可能である。ただし、信頼性の確認のため、発表の前に適切な PI もしくは Contact Person に連絡をとることを推奨する。

b. 論文出版時

 以下の3点を要請する。

投稿前に、適切な PI もしくは Contact Person へ連絡をとり、「データの信頼性」「authorship」「acknowledgement」に関して確認をとる。
AKEBONO Project Office と適切な PI へ、reprintの送付を要請する。
以下の一文を Acknowledgement へ含める。
"AKEBONO data were provided by (proper PIs) through DARTS at the Institute of Space and Astronautical Science (ISAS) in Japan."

2.ご利用の前に 〜ユーザー登録〜

 ユーザー登録は、キャリブレーション更新など各 PI からの連絡のために行って頂いています。登録は GEOTAIL (http://www.darts.isas.ac.jp/spdb/ ) と共用ですので、GEOTAIL でユーザー登録を行っていればそのまま利用可能です。 登録は、GEOTAIL もしくは AKEBONO のページから、

a. 「User Registration」を Click する。必要な手続きを行うと、Mail が送られてくる。
b. 「Personalization」を Click する。上記 Mail に従って必要な手続きを行う。

の二段階で行います。連絡先リストのメンテナンスを兼ね、約二年ごとに更新をお願いする予定です。

3. 自由に閲覧可能な情報

以下の情報は、ユーザー登録無しに閲覧可能です。

a. 関係者アドレス [Address of Principal Investigators and contact persons]

場所:http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/address.html .
内容:各観測装置の PI 及び Contact Person の連絡先を示します。


b. References  [References (All instruments and results)]

場所:http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/akbnref.html
内容:各観測装置の Reference Paper とデータ取扱い説明を閲覧可能です。
(前者は、将来 PDFファイルで提供する可能性があります。)
AKEBONO 観測データを用いた科学論文一覧も閲覧可能とする予定です。


c. 衛星一般情報 [General Information of AKEBONO mission]

場所:http://www.isas.ac.jp/e/enterp/missions/akebono/
内容:最近一新された ISAS ホームページ (http://www.isas.ac.jp)に掲載されている AKEBONO 衛星の英語版説明へリンクされています。


4. ユーザー登録を必要とする情報

 以下の情報の閲覧にはユーザー登録が必要です。

a. 軌道 & SI-ON/OFF 情報 [Orbital and instrumental information]

場所:http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/akebono/ORBIT.html
内容:以下の二種類の情報をダウンロード可能です。

 ・一月単位の軌道情報ファイル(ASCII形式)
 ・条件検索:以下の条件設定により、適切な軌道の探索が可能です(ASCII形式) 「年月日」 「軌道条件(高度、緯度、経度など)」 「受信局」「日照条件」 「ビットレート」 「データフォーマット」 「各観測装置の ON/OFF 情報

期間:1998 年末まで登録済

b. 低エネルギー粒子計測器 [Low energy particle (LEP)]

場所:http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/akebono/LEP.html
内容:以下の三種類のデータをダウンロード可能です。
 ・Energy-Time (E-T) プロット (PNG形式画像)
 ・ピッチアングル指定 Energy-Time データ (ASCII形式)
 ・Standard-Database (SDB) ファイル (Binary。読み出しツール添付)

期間: 1997 年末まで登録済
備考: まだ E-T プロットのカラーバーの数値記載がなされていませんので、御注意ください。

c. オーロラ撮像装置 [Auroral Image TV (ATV)]

場所:http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/akebono/ATV.html
内容:1-path平均のオーロラ画像イメージをダウンロード可能です。
期間: 1991 年末まで登録済
備考:「高時間分解イメージ」と「SDB ファイル」の登録を予定しています。

d. 放射線モニター [Radiation Monitor (RDM)]

場所:http://www.darts.isas.ac.jp/akbn/akebono/RDM.html
内容:以下の二種類のデータをダウンロード可能です。

 ・電子のマッピングプロット(一年分)
 ・電子のフラックスプロット(一年分) 期間: 1999 年まで登録済。

備考:今後、「SDB ファイル」の登録を予定しています。




図1 低エネルギー粒子計測装置 (LEP) Energy-Time プロット例



図2 放射線モニター(RDM) 電子マッピングプロット例

(笠羽 康正)


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平成12年度宇宙科学企画情報解析センターシンポジウム
「宇宙科学観測データベースの展開」

開催のお知らせ

 1997 年 4 月の試験公開開始以来、宇宙科学研究所では科学衛星データベース(DARTS)の開発・運用を推進していますが、平成 10 年秋よりは科学技術振興事業団(JST)のプロジェクトとして「宇宙科学データ解析研究のためのバーチャル・センター構築」が採択され、DARTSを中心として国内各大学の協力の下に宇宙科学データベースの更なる発展を模索しています。このプロジェクトでは、国内外の研究機関をネットワークで連結することによって宇宙科学観測のデータベースの開発・構築を行い、資源の一般公開を国際的な規模で整備・展開することを目指したものです。近年のネットワーク技術の進展は目覚しく、バーチャルセンターの実用性はより現実的なものとなってきました。今回のシンポジウムではバーチャルデータセンターの現状の報告会を兼ねて、高速ネットワークを利用した広域データベースのあり方や宇宙科学やその他分野のデータベースの今後の展開・期待について議論をして頂きたいと思います。

日時:平成 12 年 10 月 27 日(金)
 午前 10 時 〜 午後 5 時
場所:宇宙科学研究所 本館 2 階大会議場

 なお、講演申込は、別途送付の申し込み書に記入の上、平成 12 年 10 月 10 日(火)までにお送り下さい。多数の皆様の参加をお待ちしております。

(篠原 育)


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「リアルタイム処理用高速計算サーバーに関するお知らせ」

 平成12年10月より、これまでのセンター計算機に加えてリアルタイム処理を目的としたベクトル計算機サーバー (1 CPU) が利用できるようになります。利用資格は既に宇宙科学研究所のセンター計算機課題を有する者で、リアルタイム処理を目的とした利用者に限ります。利用希望の方はリアルタイムの処理が必要となる理由を添えて申請書を提出ください。申請書は PLAIN センター 篠原 育(Email: iku@stp.isas.ac.jp、042-759-8404)までご請求下さい。

(篠原 育)


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大型計算機に関するお知らせ

1.大型計算機の9月・10月の保守作業の予定



M:システムメンテナンス

※1VPP800/12 は、ソフトウェアのアップグレードのため定期保守に先立ち9月17日にソフトウェア保守を行います。
             
※2AlphaServer はイニシエータクローズは特に行いませんので、利用者の判断で入力してください。


(三浦 昭 )


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
〒229-8510 神奈川県相模原市由野台 3 -1-1 (Tel 0427-59-8352)