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第46号 1997年8月19日発行

目次


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ATM 活用法(1)

 この秋を目処に正規運用を目指している ATMネットワークシステムですが、「実際所内にどのようにネットワークラインが敷設されるのか?」、「新ネットワークに接続するのに実は高額な資金が必要なのか?」、「パソコンの接続には新規に特別な部品がいるのでは?」等のご質問がユーザーの皆様から多数寄せられました。今回はこの紙面をお借りして、皆様のご質問にできる限りお答えしたいと思います。今回の説明でも明らかにならなかった疑問や不審な点がございましたら、このコーナーの最後にお知らせします担当の者(注:筆者です)までご遠慮なく直接お知らせ下さい。その際寄せられたご質問で、ユーザーの皆様に広くお知らせすべきものについては、次号以降の PLAIN センターニュースにて改めてお知らせすることにします。

1.新ネットワークがやってくると・・・。

 これまで宇宙研では、一般ユーザ用ネットワークとして FDDI をバックボーンとする LAN を構築し、大型計算機、スーパーコンピュータを始めあらゆる端末の通信媒体として利用して来ました。

 昨今、スイッチング技術の向上や、端末とそれに接続するネットワークインタフェース (NIC) の高性能/低価格化が進み、利用者各々が、目の前の端末にて、100 Mbps 以上の高速なネットワークを利用する環境が実現されております。

 しかし、既存のネットワークは、その 10 分の 1 以下の能力しか持たない端末での利用を前提に構築されたネットワークであるため、せっかく端末周りの性能が改善されても、今のネットワークでは十分な能力を発揮することができません。

 そこで今回、センター利用者用のネットワークとして、高速セルスイッチを実現する ATM 交換機をバックボーンとして導入します。このバックボーンは、これまでの FDI では、同時通信能力が最大 100 Mbps であるのに比べ、装置内での最大トラフィック量として 17.5 Gbps の通信能力を有します。更に、各利用者向けインタフェースとしては、100 Mbps の能力を有する 100 BASE-TX インタフェースを提供します。

 このため、これまでは各端末からネットワークにアクセスした場合、最大 10 Mbps (実質 3 Mbps 以下?)の転送能力であったのに対し、端末側のインタフェースを用意して頂くことにより、100 Mbps の転送を実現することができます。ただし、転送先もしくは、途中経路上にネックがある場合速度制限を受けます。(所外に出て行く場合、回線速度が 3 Mbps であるため、当然それ以上の能力は期待できません)

2.新ネットワークへの入り口は?

 ATM ネットワークを設計した段階で、こちらから調査に伺った際に要求のあった部屋については、それぞれ「 1 ポートだけ」100 BASE-TX インタフェースを提供いたします。(「要求した覚えがないのですが・・。」という方もいらっしゃると思います。調査を行った際にお伺いできなかった部屋も含めて、ほぼ所内全室 ATM ネットワーク完備、という方針で設計しております。)

 このインタフェースは、100 BASE-TX / 10 BASE-T 対応のスイッチング HUB に接続されており、新規に購入された 100 Mbps の LAN カードはもとより、既存の 10 Mbps 対応の LAN カードでも利用することがことができます。10 Mbps の LAN カードにて接続した場合でも、これまでのバス型 HUB とは異なり、スイッチ型の HUB であるため 10 Mbps の帯域を独占できるので、通信性能は向上します。

 また、今回の工事にてケーブル敷設の対象となっていない部屋で ATM ネットワークを利用したい場合は、部屋から最寄りの HUB までの間、UTP 5ケーブルの敷設工事を行なうことで利用することが可能です。(ただ、今回用意した HUB のポート数の関係から接続ポートの追加には制限があります。また工事費用は各自で負担いただくことになります。)...次号へ続く



(長木 明成 )


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スーパーコンピュータ更新について

 宇宙科学研究所のスーパーコンピュータのリプレースを平成10年度末に行うことになりました。宇宙科学研究所の計算機システムは、平成5年度末に導入されたスーパーコンピュータ VPP500/7、平成7年度末に導入された大型汎用機・高速計算機サーバーなどから構成されており、当研究所の衛星計画を推進するための中核的な役割を果たしております。これらの計算機群は、衛星の運用管制、計画立案のための軌道計算、取得データの処理・解析、様々なシミュレーションなど幅広い分野で利用されています。今回のリプレースでは平成5年度末に導入された VPP500/7 が対象になります。リプレース後のスーパーコンピュータは、演算性能で現行の数倍以上、主記憶として50GB以上を有し、UNIX に準拠したオペレーティングシステムの計算機になります。ベクトル演算だけでなくスカラー演算の性能も向上したより使いやすい計算機の導入を考えています。     
(星野 真弘)


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一般公開報告

 昨年の報告では、「PLAIN センターの次回の目玉は何にしよう?」と頭を悩ませた今年度の一般公開も、公表一万人余りの方々にご来場いただいて、無事終了いたしました。初めて「宇宙研ホームページ」を公開したのが一昨年の夏でした。それから早くも2年が過ぎたわけですが、その間に「世間でのインターネットの捉えられ方」はめまぐるしく変化しました。各家庭へのパソコンの普及も進み、自宅から、はたまた旅先からインターネットの海に飛び込むことが普通のことに思えてくるような、そんな日常が現実に広がりつつあります。

 どこからでも見ることができるインターネット上の情報を、宇宙研で見ようという人が果たして何人いるのだろう。このような疑問は、前に述べたような状況から生まれたものでした。折しも台風直撃か?と噂されていた7月26日、「今年はお客さんが少なくて楽ができるかな?」という漫然とした期待を打ち破ったのは、・・・やはり子どもたちでした。しつこいまでに端末の前にしがみつく彼らに苦笑いしながらも、なぜかホッとしていた、そんな一般公開の一日でした。

 大人たちの繰り広げる、かの電気街の喧噪や、コンピュータの前に座って仕事をする「日常」の中で、何かを忘れかけていたのかもしれません。 そういえば 、今年の私どものブースでは、ご高齢の方の姿も目立っていたことも添えさせていただきます。

 最後になりましたが、今年の公開に際してたくさんの方のご支援をいただけましたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
(長木 明成 )


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大型計算機共同利用研究公募のお知らせ

 宇宙科学研究所 PLAIN センターでは、全国共同利用研究の一貫として、本研究所が行っている飛翔体(科学衛星、ロケット、大気球)による宇宙理学及び宇宙工学の研究と密接に関連する次の二分野で共同研究課題の追加公募を行います。

 (1)宇宙科学観測の総合解析に関する共同研究
 (2)数値シュミレーションに関する共同研究

 本研究所で利用できる計算機として、MSPシステムの GS8400/20(汎用スカラー計算機)と UNIX システムの VPP500(7並列ベクトル計算機), VX(高速ベクトル計算機), DECalpha (高速スカラー計算機)があります。今回の追加公募の締め切りは、9月15日(月)です。

 本公募に対するお問い合わせ応募書類の請求は、
宇宙科学研究所・研究協力課共同利用係
(内線2234、2235)までお願いいたします。     
(星野 真弘)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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